2016年10月02日(日)

夜行観覧車 (双葉文庫) 



著者:湊 かなえ
発売日: 2013/1/4

評価〔B+〕 家族と野次馬を描いた小説です。
キーワード:家族、家庭、子育て、近所付き合い、

いったい、あの幸せを絵に描いたような家で何が起こったのだろう。(第一章 遠藤家より抜粋)


冒頭で事件が起き真相が分からないまま進むので、推理小説かサスペンスのようですが、内容は家族一人ひとりを描いた家族小説です。2010年に刊行されたものを文庫化。テレビドラマ化もされました。

家族の物語と聞けば、何か感動的な話を連想する方もいそうですが、「告白」を書いた著者の家族小説となると、綺麗事では終わりません。一見幸せそうな家庭でも不満やストレスがあったり、親の思いと子の思いがすれ違っていたり、そういう現実をきちんと描写しています。他人を理解する難しさを教えてくれます。他の作品でも思ったのですが、人の利己的な部分、悪とまではいかないけれど改めてほしい短所を描くのが巧いです。観察眼があるのか、著者の周りの人たちが個性的なのか・・・・・・。

家庭内だけでなく、家庭同士も思い込みによる誤解があります。事件を知った無関係の人たち、野次馬たちも同じです。小説の読者として客観的な立場で見ると、いかに単なる憶測に過ぎないことであるかが分かります。もしかしたら自分もそうなのかもしれないと、思い込みがないか疑ってみることが大切なのかもしれません。

事件の終結までの展開は、さほど意外性もなくあっさりしたものでした。そこが本書の要ではないのですが、もう少しだけ捻りが欲しかったです。



ちょっとだけネタばれ話↓

【ここからネタばれ】
慎司の当日の行動ですが、やはり自分が犯人ではないのに逃げてしまうのはおかしいと思います。何があったか確かめたくなるのが、普通なのだと思うのですが。気が動転していたと言えばそれまでですが、ずっと身を隠しているのは不自然だと思うんだけどなあ。

また、高橋家の当事者二人の章がなかったのは意外でしたけど、これはこれで良かったと思います。啓介の口からも二人の会話が明かされているので、これ以上は必要ないと判断したのでしょう。全てを語らない良さみたいなものを感じます。

【ネタばれここまで】
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[ 2016/10/02 22:02 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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