2016年04月12日(火)

記憶力の正体 人はなぜ忘れるのか? 



著者:高橋雅延
発売日: 2014/6/4

評価〔B+〕 不思議なエピソードが印象深いです。
キーワード:記憶、健忘症、意識、忘却

むしろ重要なのは、頭の中から何度も「引き出す」ことのようです。実際、機械的な反復によって頭に「たたき込む」よりも、何度も頭の中から「引き出す」ことの方が、記憶の定着にとって、はるかに有効であることを明らかにした実験があります。(第五章より抜粋)


テストや試験の時に物を思い出せないことや、唐突に過去の嫌なことを思い出すことが多々あると思います。自分の頭の中にありながら思いどおりにならない記憶について、最近の研究や実験から分かってきたことを説明しています。

まず、題名に正体とありますが、どの物質がどの器官に働いて――といった脳科学ではなく、面接や実験・統計などから仕組みを探る心理学を用いています。ですので、化学的な記憶のメカニズムというよりは、記憶や忘却の傾向を考察していると表現した方が近い気がします。生物や化学に疎くても、比較的分かりやすいと思います。

記憶喪失の事例で、記憶を取り戻すと失っていた期間の記憶を忘れてしまうのは、非常に興味深いですね。記憶する脳の分野が違うのか、心にとってなにか都合が悪いことがあるのか・・・・・・。記憶と人格の関係で未発見の重要な何かがあるのかもしれません。

また、意識とは関係なく記憶が残る場合がある事例も面白いです。久しぶりに乗った自転車など、体で覚えたことは忘れないのは納得です。意識して手順を覚えているわけではないのに、スッと運転できる人がほとんどでしょう。また、第六感や勘は当て推量ではなく、はっきりと覚えていない過去の記憶、無意識的記憶によって得られる根拠のあるものと解説しています。言語化できない記憶はとても興味深いです。

何度も勉強するなら参考書より問題集のほうが良い、は賛成です。こうした記憶力を高める方法や忘却術も書かれていますが、分量が少ないので過度な期待はせずに、好奇心を満たすぐらいの気持ちで読むことをおすすめします。



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[ 2016/04/12 21:46 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

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