2015年12月29日(火)

目の見えない人は世界をどう見ているのか 



著者:伊藤 亜紗
発売日: 2015/4/16

評価〔A〕 見えないことで見える世界。
キーワード:視覚、障害者、五感、価値観、

見えない人というのは、そもそも見ないわけですから、「見ようとすると見えない場所が生まれる」という逆説から自由なのです。視覚がないから死角がない。(本文より抜粋)


題名をひとめ見て、すぐに読みたくなった新書です。僕はかなりの近視で、眼鏡がなければほとんど見えず不便だと感じています。では、さらに見えない、視覚障害者の方々はどのような人生を送っているのか、何をどう思っているのでしょうか? 好奇心から手に取りました。

本書を読むまでは、異常に敏感な聴覚や触覚を駆使して日々の生活を送っていると思っていました。しかし、それは勝手な解釈で、物のとらえ方からして、まったく違うことを知らされました。頭の中の地図の描き方から始まり、足の裏から状況を把握する、不自由さを楽しむユーモアの力と新鮮な驚きが沢山挙げられています。

上述の引用、つまり目で見ると後ろ側が死角になりますが、見えない人は触って立体的に理解するので裏も表もなく死角もない、という世界の見方は新鮮でした。外界を把握する術が違うと、考え方も違ってくる良い一例だと思います。また、意外にも色のイメージはつくのですが、混ざった色が理解できないそうです。なるほど。見える人とは違う色のクオリアがあるのでしょう。どのような印象になるのか体験してみたいですね。

特に印象深かったのは、見えない人と見える人が美術館で一緒に芸術鑑賞することです。本書では、それをソーシャル・ビューと呼び、その活動を紹介しています。詳細は長くなるので割愛しますが、見えていることが見えないことより全面的に優れているのかどうか、一石を投じる鑑賞会だと思います。

軽いエッセイのような感じ文章・構成ですが、全体を通してみると緩く繋がっていてまとまっています。文化の違い性別の違いとはまた別の世界観、価値観が非常に面白かったです。普段本を読まない人も、本書は読んでもらいたいですね。


(ちょっと推敲かも)



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[ 2015/12/29 18:42 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

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