2015年12月10日(木)

日本人のしつけは衰退したか 



著者:広田 照幸 (著)
発売日: 1999/4/15

評価〔A-〕 昔と比べてどうなのでしょうか?
キーワード:教育、しつけ、家庭、学校、戦前、戦後、

回答者たちは、自由回答の部分ではみんな口をそろえたように、しつけは家庭以外の担い手によってなされた、あるいは、家庭では特にしつけはなかったと答えているのである。(本文より抜粋)


子どもや若者の犯罪や社会問題が話題になると、しばしば『最近の親は子どものしつけがなっていない』という批判をよく目にします。現状はひとまず置いておくとして、それでは昔は教育やしつけがきちんとなされていたのでしょうか。本書は戦前から現代までの教育の在り方について、アンケートや資料・統計から考察します。

昔はしつけが厳しく、子供は素直に聞いていたというイメージに反し、上記の引用のように、実際は家庭でのしつけは重視されていなかったのが意外でした。まだ全体的に貧しかった頃は、日々に暮らしに追われていて教育どころではなかったのは、ごく自然なことだったのだと思います。今でも貧しい国では、子供は勉強する者ではなく労働する者です。それが終戦を経て高度経済成長期に入り、農業の衰退と核家族化によって、次第に教育が重視されていくという流れは説得力があります。

童心・厳格・学歴の三つの教育方針の話が興味深かったです。子どもらしさなんて最近の教育論かと思っていましたが、思いのほか昔から言われていて驚きました。意外と教育やしつけする側の心情は、それほど変わっていないのかもしれません。

しつけが地域社会から家族・両親へと、どんどん責任を押し付けられているように感じました。あまり厳しいと、親も子もストレスでまいってしまうので、何か対策が必要です。例えば、あとがきにある「完璧な親を目指さない」心がけは、親の一つの指針になるのではないでしょうか。

本書は99年出版で、既に15年以上経っていますが、世間やマスコミの認識はさほど変化していないように感じます。昔よりしつけがなっていないと。そう勘違いしている人や教育に携わる人に、現代の教育を考えるために読んでもらいたい本です。


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[ 2015/12/10 21:07 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

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