 
| 著者:岡田 尊司 発売日:2009/9/30
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評価〔B〕 実直な紹介本といったところ。キーワード:心理学、自閉症、アスペルガー、
このタイプの人にとっては、言葉を交わしてもいない相手の感情をわかることの方が、不思議に思える。(本文より抜粋)
ネットのコメント欄や掲示板などで、言葉を額面通りに受け取り裏に隠された真意が分からない人に対して、「アスペルガーなのか?」と反応する人をたまに見かけます。皮肉が通じなかったりする時、冗談が通じなかったりする時などです。今では何の前置きもなく、アスペルガーという言葉を使う人もいます。では、そもそもアスペルガー症候群とはどういった人々を指すのか、具体的にどのような特徴を持つのか。臨床医の著者が、初心者にも分かりやすいよう有名人のエピソードを交えて説明します。
特定の分野には詳しいが、他人と会話することが苦手、というイメージはあながち間違っていないことが分かりましたが、細かいところは知らないことが多く、理解の助けになりました。例えば、言葉を文字通りに受け取るのは言語能力が低いのではなく、高いけれど共感する力が弱いがために起きること。自閉症の研究から始まっただけあって、自閉症、高機能自閉症、アスペルガーは別々のものではなく、ある程度重なり合って繋がっている症状で、意外と曖昧なものなこと、です。また、パーソナリティも本書では7つに分類されていて、かっちり型にはまったものではないことが分かりました。
Amazonの書評にもありますが、少々気になったのは、アインシュタインやビル・ゲイツなど成功した天才の多くがアスペルガー症候群だったかのように書かれている点です。実際にアスペルガーの方もいたと思いますが、本書を読むとアスペルガーは天才もしくはその予備軍のように見えます。良い可能性を強調し過ぎているような・・・・・・。
とは言え、原因や特性、特性の活かし方や改善方法など、知らない人が総合的に学ぶには良い本なのではないでしょうか。次は、『境界性パーソナリティ障害』か『発達障害』の本を読もうかな。
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