2015年01月07日(水)

還りの会で言ってやる 

還りの会で言ってやる (メディアワークス文庫)還りの会で言ってやる (メディアワークス文庫)
著者:八重野 統摩
出版社:アスキーメディアワークス
出版日:2012/06/23

評価〔B〕 テーマの割りに明るい雰囲気。
キーワード:青春、学園、いじめ、

「だからこそ、俺がこのちびっこをダメ人間から真人間に更生してやろうってわけだ。実に面白そうだろう?」(本文より抜粋)


いじめがテーマの小説、と書くと、さぞかし重くて読むのもつらそうに感じるかもしれませんが、題材のわりには雰囲気も読後感も良い青春小説もしくは青春ミステリ小説です。

野球部に所属する男子生徒・沖永創吾は、幼なじみの柚舞がいじめを受けているのを知り、でも何も行動を起こせないことに思い悩んでいるのですが、突然謎の人物が登場していじめを解決すべく皆で奔走します。いじめを扱っているにも関わらず、どこかしらコミカルな雰囲気になっているのは、著者のユーモアもしくは文章力のおかげでしょうか。軽いのではなく、悲壮感が弱められている感じ。

途中、事件が起きて推理小説のようになるのですが、謎よりも心理描写に力が入っていたと感じたので、本書は青春小説だと思います。それに、いじめと共にあるもう一つのテーマのほうが重要ですしね。どんでん返しや構成の巧みさではなく、高校生たちの心情や人間関係を上手く見せるタイプの小説でした。



ちょっとしたネタばれ話↓

【ここからネタばれ】
もう一つのテーマ「恋愛」と階段事件の犯人について。
上記の感想で恋愛と書いてしまうと、犯人像が容易に想像できてしまうので書きませんでした。僕は三野瀬が好きな人をかばっているとピンときましたが、それがあの人物だったなんて……。てっきり三船少年だとばかり思っていました。だって最初のほうから頻繁に出ていた男子だし、クラスの男子の名を騙ったラブレターとあったから。

最後の宇佐部が創吾を評価した誠実さは、本当に良かったと思います。たいていの場合は幼なじみだから協力したとなるところを、恋愛感情ではなく友情のためにがんばったとした点に、本書の独自性を感じました。恋愛が悪いのではなく、たまにはこうした展開も良いよねって思います。

【ネタばれここまで】
スポンサーサイト
[ 2015/01/07 21:48 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tonaku.blog51.fc2.com/tb.php/750-d65bba2c