2014年12月23日(火)

頼子のために (講談社文庫) 

頼子のために (講談社文庫)頼子のために (講談社文庫)
著者:法月 綸太郎
出版社:講談社
出版日:1993/05/06

評価〔A-〕 欲なのか愛情なのか
キーワード:推理、現代

もはや私のなす業を妨げるものはない。全てが私の計画通りに進むだろう――頼子のために。(本文より抜粋)


娘を殺された父親が残した手記をもとに、探偵役の推理小説作家・法月綸太郎が再捜査にのりだす推理ものです。探偵役が著者と同じことに、しばらくしてから気がつきました。かなり珍しいのではないでしょうか。本書は1989年に講談社ノベルスとして刊行したものを文庫化したものです。

まず、手記は父親の主観で書かれてた上、肝心の娘・頼子は既に亡くなっているので、事実確認が難しいのが特徴です。関係者の証言と手記で食い違いが起きた時、どちらが信用できるのか見破ることが推理のポイントとなっています。

結構凄いものを、いや怖いものを見てしまった、というのが読み終わった直後の感想です。トリックを推理するのではなく、犯人や被害者たちの動機に重点を置いて推理していくのですが、見事に裏をかかれ騙されました。へぇ~と感心していたら、さらに意外な真実が明らかになり、驚きました。一見首を傾げてしまいそうな動機にもきちんと理由があり、説得力と構成の上手さを感じます。

最初のノベルスの出版は20年以上前になりますが、物語に古さは感じません。ただ、ワープロ、フロッピーという言葉が出てきたときは時代を感じました。久しぶりに目にしました。

探偵の法月は正義感に燃えるタイプではなく、淡々と行動し調査をするためか、それほど魅力的には見えませんでした。また、強い個性のない人が多かったのですが、それがかえって犯人の欲望やあの人の動機を際立たせています。しっかり謎は解けて終わるのですが、なんとも言えない怖さや悲しさ、または納得いかないさが残ると思うので、読後感は良くないです。しかし、良くも悪くも心に響く物語でした。



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[ 2014/12/23 23:33 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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