2014年12月03日(水)

人間はどこまで耐えられるのか 

人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)
著者:フランセス アッシュクロフト
出版社:河出書房新社
出版日:2008/05/02

評価〔A〕 これで賞がもらえなかったのは残念
キーワード:生命、医学、自然科学、極限、地球

最大限に順化させた場合でも、7900メートルより上に登ることは危険で、滞在時間は二、三時間にとどめなければならない。これは登山家のいう「デス・ゾーン」で、それ以上の標高に長くとどまると、体の機能が急激に低下する。(本文より抜粋)


人間の体はどのくらい過酷な環境まで耐えられるのか、また極限状態ではどのような反応を示すのかを紹介・説明しながら、人間が生きのびられる限界を探ります。

題名が硬くないので易しめの科学エッセイかと思っていたのですが、過去の事故や研究から考察している科学的な内容です。物理、化学、生物の知識があればより深く理解できますが、理解できなくても楽しめると思います。ただ、読んでいると時々怖くなってしまうのが弱点かもしれません。また、原文の良さか訳者の巧みさか分かりませんが、翻訳特有の読みづらさも感じず読めました。こういう細かいところは結構大切です。

印象深かったのは低地から高地へ大規模入植する難しさと、アフリカの人々が手足が長い理由です。後者は、体内の熱を放出するために、手足を長くして表面積を大きくしているのだそうです。どちらも人種もしくは民族による身体的特徴の違いが要因だとあり、人間も予想以上に順化した生き物なのだなと感心してしまいました。

研究のデータをとるために自ら被験者となる科学者たちの探求心が凄いですね。探らなければわからないけど、一歩間違えば死んでしまうかもしれない。危険よりも知りたい欲求が上回るのには頭がさがります。著者もキリマンジャロに登って高山病にかかったりしています。かなり活動的だ。

宇宙で人間に起きる生物学的反応や、極限状態で生きる人間以外の生物にも触れられていて、読者の好奇心を満たしてくれます。本書は一般読者向けの本の賞を取るために書かれたのですが、残念ながら賞はとれませんでした。でも、十分魅力的な本でした。


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[ 2014/12/03 22:01 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

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