2014年04月22日(火)

2 (メディアワークス文庫) 

2 (メディアワークス文庫)2 (メディアワークス文庫)
著者:野崎 まど
出版社:アスキーメディアワークス
出版日:2012/08/25

評価〔S-〕 過去の5冊を読んでからお楽しみください
キーワード:演劇、創作、SF、現代

「創作とはなんですか?」
それはあまりにも壮大な質問だった。(本文より抜粋)


役者志望の青年・数多一人は、劇団の入団審査を受けていました。劇団の名は「パンドラ」。日本一と名高い集団でプロとしての一歩を踏み出すところだったのですが、予期せぬハプニングが起きます。ハプニングを起こした張本人は一体何者なのか、目的は何なのか、疑問を抱いたまま彼も動き始めます。

まず注意点があります。野崎まどが本書より前に出した5冊で登場する人物が再登場しますので、本書より先に既刊の5冊を読んでおくと一層楽しめます。読まなくてもおそらく楽しめますが、ワクワク感が違いますので。僕も他の人のそうした書評(助言)を見て、全部読んでから本書を読み始めました。読んでおいて良かった。

主人公がちょっと変わった人物に会い、成り行きで彼女と行動をともにしていく、という著者のお馴染みの展開ですが、既に知っている人物があれこれ絡んでくるのは面白いですね。彼ら彼女らの凄さが分かっているだけに、進行していく創作活動の凄さがよく分かります。

序盤の、とはいっても100ページ超えてますが、あの人物の登場シーンが強烈でした。あれだけでも読んで良かったかなと思ってしまいました。もちろん、著者らしくどんでん返しもあります。ただ、それは過去の作品とは少し違っていて、予期しなかった方向へ進む意外性からくる驚きよりは、推理小説の真相が分かった時の感心のような類のものだと感じました。メインがあの人だから、前の作品を読んでいれば方向性はなんとなく、ね。

中盤の学校で出た話題は興味ある分野だったので、楽しく読めました。こうした部分も面白いのが良いですね。終盤、創作とは何なのかか、ある人物の口から語られます。結果はともかく結論はとても興味深く、いろいろと考えてしまいます。

500ページ以上の長編ですが、比較的軽めの文体のためか苦もなく読めました。厚さにしり込みせず、読んでもらいたい本です。




ちょっとネタばれ話↓

【ここからネタばれ】
ちょっとしたことについて。
意外な真相が明かされるどんでん返しがありましたが、映画が人に影響を与えるという点は変わらなかったので、驚きは過去の作品と比べるとそうでもなかったです。最早がすることですから、ただごとでないのは分かっていましたから。上でも書きましたが、彼女の存在によってある程度予期できてしまうのが、難点と言えば難点ですね。

ナタリーは一体何者なのでしょうか。単に演技が上手い人なのか。いや、最早が簡単にOKを出すような人がいるのでしょうか……。どこぞのサイトで、ナタリーと最早が同一人物だと考察している人がいました。なるほど、確かにありそうな話です。確かに、最後に二見が「最原さん本人の力すら借りて」とありそれっぽいのです。でも、これは「不死の彼女を最早に仕立てる」ことを示していると思うのですが

二見はミラクルなアクターとのことですが、これって既に最早に人格を変えられている可能性が大きいですよね。それとも、アムリタでは触れられなかった彼の常人でない才能なのでしょうか。前者のような気がしてなりません。


【ネタばれここまで】
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[ 2014/04/22 18:41 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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