2014年04月17日(木)

悪の教典 上 (文春文庫) 

悪の教典 上 (文春文庫)悪の教典 上 (文春文庫)
著者:貴志 祐介
出版社:文藝春秋
出版日:2012/08/03

評価〔A-〕 社会に潜む怪物が怖いです。
キーワード:学園、サスペンス、現代、教師、

蓮実にとって、晨光町田の大半の教師と生徒は、将棋の駒でしかなかった。いかに操るかには神経を使わなければならないが、逆に言えば、いかようにも操り得るということだ。(第二章より抜粋)


凶悪で残酷な悪者が自分の本性を隠して欲望を満たしているとしたら、どのような人生になるのか――――その疑問に対する答えの一つが本書だと思います。英語教師・蓮実誠司は生徒はもちろん同僚にも人望のある人気者ですが、実は他者に対する共感性を欠く恐ろしい犯罪者です。邪魔者や気に入らないものは容赦なく排除し、彼にとっての住みやすい世界を作り続けていくサイコ・ホラー小説。第1回山田風太郎賞受賞作で、2012年に映画化もされています。

残酷な犯罪者という言葉ではまだ生ぬるいくらい、良心がないかのような化物ぶりです。悪人と言えど躊躇したり気弱になったりしそうな時でも、雑務でもこなすかのように軽く迅速に処理していくのが怖いです。ハスミン(蓮実の愛称)は、外面の良さや人を魅了する話術よりも、その決断力の速さと行動力が凄いと思います。決断に迷いや重みはありません。下手すると何も考えていないんじゃないかと思えるほどです。

また、相手の能力や性格は関係なく、本当に自分の都合のみで次々と他者を貶めていきます。子どもっぽい理由の時もあります。普段は紳士にふるまっているためか、裏では欲望のままにつきすすみます。共感性のなさがよく出ているところです。そして、ほんの少しでも自分の弱みを握る可能性のある者には容赦はしません。予期せぬ事態が起きても強引に解決して、自分の評判を落とさないところも狡賢です。

実は下巻も読み終えてから上巻の感想を書いています。重要な伏線があるので、なるべく読み飛ばさないでじっくり読むことをお勧めします。




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[ 2014/04/17 21:08 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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