2013年03月08日(金)

星を継ぐもの (創元SF文庫) 

星を継ぐもの (創元SF文庫)星を継ぐもの (創元SF文庫)


著者:ジェイムズ・P・ホーガン
出版:東京創元社
発行:1980/05/23

評価〔A+〕 ミステリ風ハードSF
キーワード:SF、近未来、ミステリ風、科学調査

「何者であるかはともかく……チャーリーは五万年以上前に死んでいるのです」(本文より抜粋)


月で発見された謎の遺体。調査の結果、彼は五万年前に死亡していることが判明します。彼は、はたして地球人なのか宇宙人なのか。どうして地球ではなく月面に存在したのか。物理学者ハントたちが謎の解明に挑みます。有名SF作家J・P・ホーガンの出世作。

近未来の宇宙を舞台としたハードSFですが、未来の生活やテクノロジーをあたかも体感しているようなものではなく、今ある現実的な技術で謎を解明していく地味ですが壮大な小説です。裏表紙の粗筋からわかるように、謎解きが主題なのでミステリ風です。ほんの少しずつ事実が判明していきますが、あることが分かると違う疑問点が持ち上がるので、最後まで引き込まれます。

科学調査の部分が細かく書かれていて、実にリアリティがあります。未知の言語の解読なんかは、昔TV番組で見たものと同じような感じで驚きました。遺体から生活していた場所の重力を割り出すところも良いです。本書の初版が1980年であることを考慮すると、著者の知識と調査・取材に圧倒されます。本書は、戦争がなくなりそのお金を宇宙開発に費やした近未来の話ですが、現実世界の2013年から見て、劇中の2029年の技術を実現するのはちょっと難しそうです。でも、それくらいにガニメデまで往復できるくらいになっていればいいなあ。

強いて残念な点を挙げるとすれば、人物の魅力があまりないことでしょうか。主役のハント博士でさえ、内面があまり伝わってこなかったです。それと、翻訳のせいか専門的なせいか、読みやすくはありません。自然科学系の知識はあったほうがすんなり読めると思います。でも、謎解きの面白さや素晴らしい発想が損なわれるほどではありません。

まるで遺跡調査のドキュメンタリー番組を見ているかのように、ワクワクさせてくれます。昨年末に読んだ『幼年期の終わり』も壮大でしたが、あれよりもこちらのほうが好みです。スケールの大きい謎をお望みなら、是非。



追記
長門有希の100冊に入っています。


ネタばれは続きにて↓

【ここからネタばれ】
真相の中核をなしていると言っても良い月の秘密ですが、あのようなことが本当に起こりうるのでしょうか。スイングバイみたいに曲がるだけになりそうだけど。

引き止めるには、もっともっと質量差が必要な気がするけど……実際のところどうなんだろう。誰か試しに計算するか、専門ソフトでシミュレートしてくれないかなあ。

【ネタばれここまで】
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[ 2013/03/08 21:54 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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