2012年11月26日(月)

平等ゲーム(幻冬舎文庫) 

平等ゲーム (幻冬舎文庫)平等ゲーム (幻冬舎文庫)
著者:桂 望実
出版:幻冬舎
発行:2012/04/12

評価〔B+〕 限りなく平等に近い社会。
キーワード:平等、格差、個性、

「鷹の島では、社会主義でも資本主義でもない、理想の仕組みを作りました。四年毎に仕事が変わっていけば、既得権的なものは発生しなくなりますし、平等です。」(第一章より抜粋)


誰もが平等で豊かに暮らせる社会と言ったら、どのようなものを想像しますか? 本書では、そんな理想郷が、極めて小さな規模ではありますが、存在します。その場所は、鷹の島。究極のユートピアを目指した三組の夫婦からはじまり、賛同者が集ってできた平等の社会です。全てが住民投票で決まり、生活に不自由はなく、仕事も抽選で決まるという徹底振りで、なんか感心してしまいました。

その理想郷で生まれ育った30代の芦田耕太郎は、島がユートピアであることを強く信じています。彼は勧誘係として働いていて、まったく違う環境で育った人々と会うのですが、彼もしくは彼女たちの反応や価値観が様々で興味深いです。完全な平等とはどういうことか、個性とは何なのか、また競争や差はあってはならないものなのか、と社会制度や生き方について考えさせられます。

後半、ある出来事から島の現状を知った耕太郎が、動き出します。鷹の島があったら実際に起こりそうだな~と思えるのが、リアリティがあって良いです。でも、これもやはりワクワクドキドキというよりは、興味津々的な面白さです。

また、彼が理想郷育ち特有の精神の持ち主であることも、印象深いです。本当にそうなるのでしょうか。少なくとも島は自由恋愛で、恋愛には競争の要素もあるからあのようには……んー、でも個人差があるから、なんとも言えないのかな。

現在ではできなさそうなことを小説として書く点では、SFと言えるかもしれません。はたして鷹の島はユートピアなのか、それともディストピアなのか。どの人物に共感するかで、自分の今の価値観が分かりそう。知的に面白い小説でした。




スポンサーサイト

[ 2012/11/26 22:24 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tonaku.blog51.fc2.com/tb.php/469-140881f3