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2012年09月30日(日)

妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 

妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
著者:オリヴァー サックス、Oliver Sacks 他
出版:早川書房
発行:2009/07/05

評価〔A-〕 奇妙な症状で人生を見つめなおします
キーワード:病気、神経系、人生、哲学、エッセイ

テストは終了したと思ったのだろう、帽子をさがしはじめていた。彼は手をのばし、彼の妻の頭をつかまえ、持ちあげてかぶろうとした。妻を帽子とまちがえていたのだ!(本文より抜粋)


題名を見てまさかと思い、読んでみたら上記の引用のとおり本当に間違えていて、驚きました。本書は、神経科の医師による、非常に珍しい症状の患者たちについて、思うことを綴っています。

裏表紙には「驚きと感動の医学エッセイ」とありましたが、専門的な記述が多いです。前置きと各章の説明は、医学にある程度の知識があれば面白いのかもしれませんが、素人が読むとなると専門用語が多く分かりやすいとは言えませんし、あまり面白いとも言えない気がします。

しかし、患者の描写は面白く引き込まれます。著者もはじめにで書いているように、症状のみを記述するのではなく、患者の生き方や人生を含めて伝える叙述力を重視しているようです。このような奇妙な患者がいるで終わらず、その状況であのように生きている、そのように思っていると、患者が一人の人間として具体的に描かれているのです。記憶が保持できない男性、自分の体の感覚を自覚できない女性、チック症との独自の付き合い方を発見した男性と、健全な人でも人生を考える上で参考になる物語が語られています。また、失語症病棟のある風景「大統領の演説」は皮肉めいていて面白いですし、知的障害の若い女性「詩人レベッカ」はそういう人々に対する見方が変わる新鮮な話でした。

24篇もあるので、さすがに質にばらつきがありますが、どれかは心に響くものがあるのではないでしょうか。解説の部分が少々退屈に感じることもありましたが、著者と患者のやり取り・交流の部分は意義深いものだと思います。


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[ 2012/09/30 22:01 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

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