2012年07月05日(木)

黒い家(角川ホラー文庫) 

黒い家 (角川ホラー文庫)黒い家 (角川ホラー文庫)
著者:貴志 祐介
出版:角川書店
発行:1998/12

評価〔B+〕 保険金がらみの社会派ホラー
キーワード:ホラー、サスペンス、保険会社、現代

「そうか。何でやろうな……?とにかくご指名なんや。わざわざ若槻主任と名指しして、来てくれ言うてる」(本文より抜粋)


保険会社で主任を務める若槻慎二は、会ったことのない顧客からの呼び出され、そこで子供の遺体の第一発見者となってしまいます。発見時に居合わせた顧客の不審な態度から、保険金殺人のにおいを感じた若槻は、自力で顧客について調べることに。そして、事態は思わぬ方向へと進んでいきます。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。

精神的に徐々に疲弊していく若槻を見ていると、理解しがたい人間を相手にしている怖さとともに、いつ正体を見せるか分からない長期戦の辛さもあって、怖いと辛いが混じった気持ちになりました。恐怖の対象に見つかるまでのほうが、実際対決する時よりも怖かったです。やはり得たいの知れないものは不気味だ。

時々ニュースで見る保険金がらみの事件を扱っていて、サスペンスホラーであるとともに社会派の小説でもあります。主人公が保険会社の社員なので、保険業界の様子がリアルに書かれているのが興味深いです。クレーマーやクレーマー対策専門の人物の言動を見ていると、あぁやっぱりそういう人たちがいるんだなと思ってしまいます。

いつもながら著者の知識もしくは取材は凄いです。物語が薄っぺらではなく、深みのあるものに仕上がっています。保険とともに心理学による分析も専門的でなかなか。

保険の実情にもせまる社会派なので、『天使の囀り』に比べるとホラー色が薄い気がしますが、また違った面白さがありました。また、この著者の他作品を読んでみたいです。



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[ 2012/07/05 19:51 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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