2012年06月26日(火)

感性の限界 

感性の限界――不合理性・不自由性・不条理性 (講談社現代新書)感性の限界――不合理性・不自由性・不条理性 (講談社現代新書)
著者:高橋 昌一郎
出版:講談社
発行:2012/04/18

評価〔S-〕 より哲学的に
キーワード:哲学、不合理性、アンカリング、自由意志、不条理性、

哲学史家「人間の愛がいかに「不合理」なものか、自由だと勝手に信じている人間が実際には「不自由」なのではないか、なぜ人間は生まれて死ななければならないという、「不条理」に遭遇しているのか?どれも非常に興味深い大問題ですな……」(序章より抜粋)


様々な考えを持つ登場人物たちが架空のシンポジウムで討論する、「理性の限界」「知性の限界」に続く限界シリーズの3冊目です。2冊目の時も思ったんですが、続きがでるとは予想していなかっただけ、書店で見つけた時は驚きとともに嬉しかったです。

今回は先の2冊のように論理がメインではなく、主観が絡む感性、例えば自由や意識などの概念や観念に重点を置いた内容となっています。人間そのものについて考えることが多くなった気がします。3冊目でもう書くことがないのではと思っていたのですが、まだまだ知的探求のテーマは残されていました。

章は全部で3つあり、行為、意志、存在がテーマです。脳内化学物質で感情を表現しようとする行動科学、合理的判断の難しさが分かる認知的不協和とフレーミング効果、遺伝子の命令に逆らうロボットの叛逆、世界の不条理に対処するカミュの形而上学的反抗と、どれも考えてみると不思議で興味深いものでした。読んでいて、カミュの異邦人に興味を持ちました。今度読んでみようかな。心理学の実験でいくつか知っているものがあったのですが、それを差し引いても面白いです。また、知りたかったドーキンスの『利己的遺伝子』にも触れられていて、得をした感じです。

しかし、前の2冊と比べて少々まとまりがないように感じました。議論があちこちにとんで、どの方向に向かっているのか分からなくなる感覚でしょうか。3章に分かれていますが、似ている部分や重なっている部分もあるように感じたので、そのせいかもしれません。また、ある登場人物が言っているように芸術についても論じて欲しかったかな。

難しい内容をここまで易しく分かりやすく書かれているのは、相変わらず素晴らしいです。時々起きる討論の脱線も、良い息抜きとなってましたし。様々な学問が絡み合い皆で難問に挑む様子は、きっと読者の知的好奇心を満たしてくれるでしょう。出色。



スポンサーサイト

[ 2012/06/26 22:01 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tonaku.blog51.fc2.com/tb.php/410-53fea668