2012年05月28日(月)

不道徳教育講座 (角川文庫) 

不道徳教育講座 (角川文庫)不道徳教育講座 (角川文庫)
著者:三島 由紀夫
出版社:角川書店
出版日:1967/11

評価〔B+〕 悪いほうから世の中を見る。
キーワード:随筆、道徳、

「」(本文より抜粋)


一般的に不道徳とされることを推奨する、三島由紀夫の独創的なエッセーです。まだ一冊も三島の本を読んだことがなかったので、試しに読んでみようと思ったのがきっかけです。

目次を見ると「友人を裏切るべし」「女から金を搾取すべし」「空お世辞を並べるべし」となにかと問題のありそうな題の章が69もあり、大丈夫なんだろうかと思ってしまうかもしれません。読むと酷いことを言うものだと思い笑ってしまうのですが、笑って終わりにはできない物事の本質がそこにはあり、社会や人間の真理を含んでいると思います。一般的に悪いとされていることを考えることによって道徳を説く、逆説的な本です。

著者は悪と表現しているのは人の持つ欲望で、それらを否定せず、肯定しにくい時もあっさり肯定してしまう点が本書の良さであり面白さだと思います。著者の鋭い観察眼と皮肉と捻りのきいた文章で、硬くなり過ぎず分かりやすく語っています。外国の文化と言葉に明るく、当時の一般の人より広い視野を持っていたのも見逃せません。

「美人の妹を利用すべし」「できるだけ己惚れよ」「言葉の毒について」「死後に悪口を言うべし」等は感心し面白かったです。何事にも良い点と悪い点があることを再認識しました。他人の視点や意見は興味深いです。また、ユーモアの感性もあり、「小説家を尊敬するなかれ」では、人生相談で小説家が他人にできる正直な解答は『小説を書きなさい』のみで、でも小説は才能がないと書けないから解答は無価値だ、との見解に笑ってしまいました。新年に「賀正、ばかやろう、くたばってしまえ」との年賀状を未知の読者からもらった等のエピソードも面白いです。こうした逸話もあって飽きなくて良いです。

現在よりも男性中心の社会だった30年以上前に書かれたので、女性に不快なことも書かれているので注意が必要です。野球の長嶋や石原裕次郎がでてくるあたりに時代を感じます。文庫版の初版が昭和42年ですからねえ。

著者を小説家で自決してしまったことくらいしか知らず、漠然と自分にも他人にも厳しい修行僧のような人かと勝手に思っていたのですが、この本を読んでユーモアと機知に富む人物だと分かりました。これを機に、小説のほうも読んでみたいと思います。



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[ 2012/05/28 22:28 ] 随筆 | TB(1) | CM(0)

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不道徳教育講座 (角川文庫)著者:三島 由紀夫出版社:角川書店出版日:1967/11評価〔B+〕 悪いほうから世の中を見る。キーワード:随筆、道徳、「」(本文より抜粋)一般的に不道徳とされることを推奨する、三島由紀夫の独創的なエッセーです。まだ一冊も三島の本を読んだ...
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