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2012年03月19日(月)

死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 

死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)
著者:野崎 まど
出版:アスキーメディアワークス
発行:2010/10/23

評価〔A-〕 犯人よりも謎が気になります。
キーワード:不死、現代、学園

「この学校に、永遠の命を持った生徒がいるそうなんですよ~」(本文より抜粋)


不死と言って連想するのはファンタジーの神々やSFで登場する未知の生命体ですが、もし不死の存在が現代日本の学校に現れたらどうなるのでしょうか。この合わない両者をうまく組み合わせたのが本書です。

若手の教師・伊藤が転任した女子校には、永遠の命を持つ生徒がいる、という噂がありました。よくある学校の怪談のようなものだと彼は思っていたのですが、ある日唐突に、死なない生徒だと自称する女子生徒が目の前に現れます。しかし、その彼女はまもなく殺されてしまいます。彼女の言った永遠の命とは何なのか?彼は彼女の謎を追います。帯の宣伝文句「死なないはずの女が死んだ」がとても良いと思いました。

独創的ミステリと称していますが、推理小説みたく誰が犯人かを当てるのではなく、永遠の命の謎を解くサスペンスに近いと感じました。伊藤同様、信じられないけれど、うまく説明できない事象が起きていて気になります。どこか不安になるけれど惹きつけられ、どんどん話にのめりこみました。オカルト現象なのか科学技術なのかそれ以外なのか、ずっと分からないところが心憎い。

重厚や緻密という表現はあまり合いません。メディアワークス文庫らしく、ライトノベルよりは真面目ですが軽めの雰囲気です。学校を中心に教師と生徒が会話をする日常的な描写が、終盤の盛り上がりと対照的で後者をいっそう引き立てています。

それほど期待しないで読み始めたので、実に嬉しい誤算です。読み終わった後も、しばらくは死なない生徒についてあれこれ考えてみました。個性的で面白い物語だと思います。著者の他作品も読んでみたいです。



ネタばれや謎についてはつづきにて。

【ここからネタばれ】
死なない謎、あのベッシーシステムは本当に可能なんでしょうか。各々の感情を考慮しなければ、理論的には可能……なのかな?不老不死といえば理系の独壇場だと思っていたので、こうした文系的アプローチは新鮮で盲点でした。うまいこと考えたものです。
このベッシーシステムは、別にベッシーでなくても良いよね。行システムでも何でも。ま、識別が一番似合っているとは思いますけど。それっぽくて。
劇中の事件でシステムの構成要素が減ってしまったから、また増やすのでしょうか。数の弱点さえなんとかなれば、あの人の望む本物になるかもしれませんね。

【ネタばれここまで】
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[ 2012/03/19 21:31 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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