2012年02月04日(土)

マンガはなぜ規制されるのか 「有害」をめぐる半世紀の攻防 

マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)
著者:長岡 義幸
出版:平凡社
発行:2010/11/16

評価〔B〕 道徳心と表現の自由
キーワード:漫画、青少年、規制、出版

マンガなどの表現物に対する規制は、大きく分けるとふたつある。わいせつか否かと、「青少年に有害」か否かだ。(第二章より抜粋)


2~3年前、東京都の青少年条例改定案が議論された時に、ネットでも話題になりました。ネットでは、表現の自由が侵害されるとのことで反対意見が多かったと記憶しています。当時はなぜそれほどの大事になったのか詳しく知らなかったので、いまいちピンときませんでした。どうしてマンガを規制するのか?を今までの経緯と共に論じた、ルポ風の解説本です。

題名に反して、内容の大半は規制の歴史と規制についての解説です。なぜの部分、著者の意見は第五章で語られますが分量は少ないです。その点は期待はずれで不満が残りました。しかし、その分、有害図書や青少年条例の流れが多くの人の発言記録を踏まえて丁寧に書かれています。資料のような感じです。ただし、著者は出版側の人なので、まったくの中立ではなく批判的です。順を追って読めば、規制についての基本的な知識が得られるでしょう。非実在青少年って言葉がなんか凄いよね。「ヒツジの箱」の話も実に役所らしいです。

僕が子供の頃は、テレビゲームばかりしていると脳波に異常が起きるゲーム脳と呼ばれる状態になる、なんてよく言われたものですが、規制の歴史を見ると、マンガも戦後の頃から同じように保護者や教育者たちからよい顔をされなかったみたいです。非難される内容も理由も同じなのが、驚きました。出版業界も以前から自主規制をしていて、有害図書に指定されたら即廃刊にするなど決して努力しなかったわけではないのが分かります。

規制側の「妄想であっても子供の人権を侵害する」という主張や、権力を強めたいだけに見える某機関はいかがなものかと思います。二章の、憲法学者が法廷で述べた「表現の自由は、少数者の利益保護のためのもの」は、説得力があります。確かに多数派のためだったらそのような権利は必要ないでしょう。

暴力的シーンや過激な性描写が実際に犯罪を誘発するのかは、科学的に証明されていません。保護者側からすれば子供を守ろうとする情や道徳・倫理の問題だけれど、創作者側からすれば書きたいものを書き読みたいものを読む表現の自由の問題なので、いまいち噛み合っていないのかもしれません。マンガは好きだし、あまり過保護でもなあと思うので、表現の自由を大切にして欲しいですね。



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[ 2012/02/04 10:57 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

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