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2012年01月14日(土)

天使の囀り (角川ホラー文庫) 

天使の囀り (角川ホラー文庫)天使の囀り (角川ホラー文庫)
著者:貴志 祐介
出版:角川書店
発行:2000/12

評価〔A+〕 怖さと気持ち悪さが凄い。
キーワード:ホラー、サスペンス、現代

「『天使の囀り』が聞こえだしたのは、ここ数週間かな。羽ばたきの方は、もう少し前からだけど」(本文より抜粋)


怖くて気持ち悪い強烈なサスペンスホラーです。綺麗で神聖なイメージの題名ですが、全然違う内容です。凄まじい小説を読んでしまった、というのが読了直後の印象。

精神科医の北島早苗は、アマゾン調査隊に同行した恋人・高梨の帰国を待ちわびていました。しかし、帰国後の高梨は人が変わったように死を恐れなくなってしまいます。心配しながらも静観を続けますが、彼を含む調査隊員に次々と不可思議なことが起きます。高梨が聞こえたという天使の羽ばたきや囀り(さえずり)は何なのか? 事件の原因は一体何なのか? 早苗は謎を追ううちに驚愕の事実が明らかになります。

とにかく怖かったです。解説にも書かれていますが、はじめのうちはオカルト・超常現象なのか科学的説明のつく現象なのかまったく分からないので不安になり、同時にひきこまれます。話が進むにつれ、訳の分からない恐怖にグロテスクな面も加わるので、生理的嫌悪感から読むのを止めてしまう人がいそう。その後も、真相が分かって怖くなり終わったと思ったらまた怖くなりと、恐怖を存分に堪能できるでしょう。大浴場の光景も恐ろしいですが、羽ばたきや囀りが聞こえる人たちの幸せそうな様子のほうが正直怖いです。

途中、荻野信一が出てきてHゲーの話になった時は、なんでこの話題がと思ったものです。でも、ガイアの子供たちのサイドもきちんと繋がって安心しました。彼らがどうしてあの結末にいたったのか、もう少し知りたい気も……いや知りたいような知りたくないような。

この著者の他の作品もそうですが、その情報量・知識が凄いです。高梨のアマゾンからのメールをはじめ、様々な分野の専門知識が惜しげもなく披露され、小説に説得力と現実感を与えています。興味をそそるような書き方は巧みで、構成も緻密だと思います。それと、最後までどのように終わるのか分からない点も魅力的です。この作品はホラーなので期待よりは不安がつのるばかりですけどね。

盛り上がると結末が尻すぼみになるものもありますが、本書はその心配はないと思います。面白いですが、気持ち悪いものが苦手な方は止めておいたほうが無難です。多数の方が書評で「映像化はやめてくれ」と書かれていますが、やりたくてもできないでしょう。怖かったです。




※備忘録
同著者の既読作品
十三番目の人格 ISOLA 評価〔B+〕
クリムゾンの迷宮 評価〔S〕
青の炎 評価〔A-〕

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[ 2012/01/14 22:31 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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