2011年12月27日(火)

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)
著者:本川 達雄
出版:中央公論社
発行:1992/08

評価〔A〕 様々な生物の世界が見えるようです。
キーワード:生物学、入門書、サイズ、

もし心臓の拍動を時計として考えるならば、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるだろう。(第一章より抜粋)


もうだいぶ前の話になりますが、テレビか何かで、心臓の鼓動時間によって生物の時間感覚は異なる、というようなことを聞いたことがあります。もしかしたら本書と何か関係のある、もしくは著者自身が説明していたのかもしせません。その気になる興味深い見解について書かれているのが、この生物学入門書です。題名に時間とありますが、時間に限らず生物学全般を取り扱っています。

生物の入門書というと、一番速く飛ぶ生物のランキングや見慣れない生物の奇妙な生態などが頭に浮かびますが、本書は数学を用いて生物の共有点・関連性を調べ、生物の大きさによって生き方の違いを明らかにしています。一例を挙げると、動物の体重とその動物が食べる量をグラフに取ると、ほぼ一本の直線上にのります。これは食べる量が体重の約0.8乗に比例し、体重が増えるほど食べる量は増えないことが分かります。多種多様の形状や生態があるにもかかわらず、です。ちなみに、同じように体重と消費エネルギーの関係を調べ、日本人の平均消費エネルギーからサイズを計算するとゾウと同じくらいになるです。ゾウ並みだと言われると、いかに現代人がエネルギーを使っているかが理解できます。

また、島と大陸では同じ種でも大きさに違いが出る「島の規則」や、生物界には便利な車輪を使うものがいないのはなぜか?など、一風変わった議論も面白いです。図鑑や生物番組の視覚にうったえる力は弱いですが、別の良さがあります。流体力学を考慮した生体構造の違いの説明が上手で、印象に残りました。まさに生きている世界そのものが違います。

説明で対数グラフや累乗が多く使用され、どうも数字は苦手だという方には勧めるのを躊躇いますが、そうでないならばおそらく楽しめると思います。単なる観察ではなく分析・考察に重点を置いた生物学入門書でした。



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[ 2011/12/27 21:18 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

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