2011年10月28日(金)

よいこの君主論 

よいこの君主論 (ちくま文庫)よいこの君主論 (ちくま文庫)
著者:架神 恭介、辰巳 一世 他
出版:筑摩書房
発行:2009/05/11

評価〔A-〕 クラスの君主を目指せ
キーワード:君主論、入門書、現代風アレンジ

「分かりました、ふくろう先生。私は努力や苦労なんて泥くさいものは一切したくないけれど、将来愚民どもをアゴでこき使うために、必要最低限の努力はしようと思います。がんばるぞ」(第6章より抜粋)


16世紀に書かれた政治学の本、マキャベリの君主論を、小学生向けの形で解説した珍しい入門書です。クラスの覇権を握るための手引書とありますが、これはユーモアや遊び心であって、実際は大人向けの読み物となっています。……おそらく。「完全覇道マニュア――はじめてのマキャベリズム」の文庫版です。

人物紹介が、「勉強:C+ 運動:B-」などとランクで表示されていてるのが、なんともゲームっぽくて好きです。主要人物は大きなイラスト入りで、誰も彼も邪悪そうな表情なのが笑えます。まあやちゃんが凄い。

クラスの頂点に君臨したい小学5年生のひろしくんが、クラスメイトや先生とどう付き合い、束ねていくか奮戦する一年間を綴っています。小さな章に分かれていて、まずクラス内での出来事が書かれ、その後にふくろう先生と他2名による解説と質疑応答が続きます。短く切ってあり平易な言葉で記述されているので、かなり分かりやすいです。

群雄割拠の小君主たちが、仲間を増やそうと扇動したり引き抜きを試みる姿は、どこか滑稽で面白いです。遠足や運動会も重要イベントとして書かれていて、そういえばそうだったかもと懐かしい気持ちになりました。何回かやった学級委員を思い出します。全然覇を唱えてはいませんでしたが。冗談めかして作られている本ですが、誇張されてはいるもの、社会における派閥争いを現実的に捕らえたものなのかもしれません。

随所に散りばめられたパロディネタも楽しいです。例えば、運動が得意なりょうくん。赤兎馬のごとき「馬」をエサに寝返るよう説得されるシーンがありますが、これって三国志の呂布だよね。りょうくん以外にもまだまだ隠されたパロディがあると思うので、興味がある方は探してみてください。

民衆のことを愚民と呼ぶのが気になりましたが、本家の君主論もそうなんでしょうか。原書も確認してみたくなりました。難しそうな本を分かりやすく面白く説明してくれるのは、嬉しいし凄いと思います。心理学でも難しいことを易しく解説できるのは頭がいいとあったので、著者は原書をきちんと理解されているのでしょう。覇を唱えたいお子様、そうさせたい保護者の方、それと面白く君主論を学ばれたい人におすすめです。読みやすいよ。



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[ 2011/10/28 21:26 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

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