2011年10月03日(月)

ことばと文化 

ことばと文化 (岩波新書)ことばと文化 (岩波新書)
著者:鈴木 孝夫
出版:岩波書店
発行:1973/05/21

評価〔B+〕 言語の違いの面白さを知る
キーワード:言語、文化、

私は英語を学び出してから、もう三十年以上になる。米国やカナダにも何年か滞在したこともある。それなのに英語の lip が、このように日本語の「くちびる」とは違っていることに気付いたのは、なんと二、三年前のことでしかない。(P43より抜粋)


国際化が進むにつれ役に立つ言語とそうでないものの差が出てきて、どんどん言語の総数は減っていますが、それでも世界には数多くの言語が存在しています。日本語をそうした他の言語と比較することにより、日本の文化の特色と明らかにし、また言語と価値観・習慣の関係も分かりやすく説明していく、文字通りことばと文化の入門書です。

言語学の本ですが全体的に分かりやすく、やや専門的かなと感じたのは6章くらいです。外国語と母国語の違いを、著者の日常の体験から解説しています。上記の引用のように、lip と唇はまったく同じものを指していると思い込みがちですが、実は少し違います。辞書には違いが書いていないとありましたが、僕の電子辞書には記述されていました。これは、本書が1973年発行で昔の本だからでしょう。それ以外にも、同じような表現だけれども属している文化が違うために、価値観の違いが目立つ例も挙げられていて興味深いです。

ことばの定義で、辞書を引くと堂々巡りに陥ってしまうことが書かれています。やはりあの循環は説明になってないよね。

また、「お姉さん」という呼びかけはあるのに、なぜ「妹」と呼びかけることはないのか。迷子の小さな子供に対して血縁者でもないのに、なぜ大人は「おじさん」「おばさん」と自分のことを呼ぶのか。日本語話者としては当然すぎて考えもしないような言い回しを、多言語と比較して考察しています。日本語は何かと年齢を気にする言語だよね。先輩、後輩、先生など。儒教圏では日本より年齢に厳格なので、もっと年齢や上下を示す単語が多いんでしょうね、きっと。

既に身をもって経験したこともあったので、新鮮だったとは言えません。しかし、異文化や日本語についての本を読んだことのない人には、とても有益です。古くても古さは感じないでしょう。



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[ 2011/10/03 20:47 ] 言語 | TB(0) | CM(0)

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