2011年09月26日(月)

θ(シータ) 11番ホームの妖精 

θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)
著者:籘真 千歳
出版:アスキーメディアワークス
発行:2008/04

評価〔B+〕 遠い未来の訳あり駅員
キーワード:SF、未来、駅、

「ええ、ここも東京駅です。このホームだけぽつんと離れて、上空2200メートルに浮いていますけれど」(Ticket01より抜粋)


少し前にリニアモーターカーの営業予定の年が公表されました。まだまだ先の話ですが、より速くより快適な交通手段は、多くの人々に望まれています。本書は、鏡色の門により世界の果てまで数時間で到達できるようになった遠い未来が舞台。三等駅員の少女T・Bと狼型サイボーグの義経しかいない上空に浮遊している東京駅11番ホームでの事件が、T・Bを通して描かれています。

彼女も言っているように、「ワケのない人も物も来ない」特殊なホームですので、旅行者とのほのぼのした交流や地元の人々との触れ合いはまったくありません。彼女たちの過去に起因する状況なので、それを知れば納得するでしょう。

徐々に明かされる世界設定はよく練られていて、物語をより深くしています。後半登場する十三月には、いつかはこういう人が現れるのではないのだろうか、と唸ってしまいました。SFはこういう点が面白いと思います。設定に関することひとつ。実在の東京駅には11番ホームはかつてはあったのですが、この本同様、現在は存在しないみたいです。よく出来ているね。

特に印象的だったのは、地の文章が丁寧語で書かれていることです。例えば、「人が来た」なら「人が来ました」という具合に。彼女の人柄をよく表している一人称ですが、これだけのことだけで、だいぶ雰囲気が変わるものだなと感じました。一方、彼女が駅のコンピュータ・アリスに命令するときのオペレーター台詞が格好良いです。なんか盛り上がります。

表紙折り返しにはハードSFと書かれていますが、気負わず楽しめると思います。著者のハヤカワ文庫のスワロウテイル人工少女販売処に興味があり、読む前の試しとして本書を読んだのですが、これならスワロウテイルのほうも安心して読むことができそうです。




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[ 2011/09/26 21:18 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

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