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2011年06月03日(金)

クラインの壷 

クラインの壷 (新潮文庫)クラインの壷 (新潮文庫)
著者:岡嶋 二人
出版:新潮社
発行:1993/01

評価〔B+〕 仮想現実の世界
キーワード:SF、仮想現実、ゲーム、現代

信じられなかった。僕の周りにあるものは、すべてが本物だ。この上着も、靴も、ベッドも壁も天井も、前にある小さなドアも――なにもかもが本物だった。本物としか思えない。(本文より抜粋)


新しいゲームの原作者として開発に関わることとなった上杉彰彦は、もう1人のモニター・高石梨紗とともにゲームの世界に入り込みます。そこは、現実とまったく区別のつかない仮想現実。テストを続けるうちに、事態は思わぬ方向へ、というサスペンス風SFです。1989年出版の単行本の文庫化。

SFにありがちな難解な説明はなく、登場人物も少ないので、すんなり読むことができます。文体が一人称なので、上杉の困惑や興奮がよく分かります。そして、読み進めるうちに、仮想現実の楽しさと怖さが実感できるのが面白いです。同じような感じのラノベ、高畑京一郎の「クリスクロス」を思い出しました。あちらとは違った面白さがあります。

惜しいのは、昔の作品なので、情報量がテラバイトになると言った発言に現実味がないことです。本物そっくりの仮想現実は、限定的でもテラ単位では無理なんじゃないのかな。また、終盤までは良かったのですが、どうも結末が好きではありません。うまく表現できませんが、こう、きっちり終わって欲しかったです。

岡嶋二人は、二人の作家からなるペンネームだそうです。あとがきによると、すでに解散されているとか。ちょっと残念ですね。



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[ 2011/06/03 20:02 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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