2011年04月21日(木)

象られた力 

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)著者:飛 浩隆
出版:早川書房
発行:2004/09/08

評価〔B〕 重厚で感覚に訴えるSF小説
キーワード:SF、未来、中短編集、

「では、お話ししましょう。あたなに見つけていただきたいものがある。――それはだれも知らない図形です。」(表題作より抜粋)


普段SFに馴染みのない人が想像するSF小説とはどのようなイメージでしょうか。まだ実現できそうもない科学技術、地球以外の惑星での生活、物理法則の異なる世界、それらが難解な文章で書かれたものと思っている人もいるでしょう。本書にはそれらの要素を含みつつ、イメージしやすい世界が存在しています。著者の初期中編4つ収めた作品集です。

双子の天才ピアニストや特殊な言語の謎と、SFでもありサスペンスでもあるような小説があって興味を引かれました。アイディアも良いのですが、特徴的なのは、巻末の解説にもあるように、五感に訴える文章です。音、光、臭いと頭の中で再現しやすいように書かれていて、想像しやすいSF小説もあるもんなんだなと感じました。「デュオ」の演奏、「象られた力」のタトゥーは印象的。

4つある中で良かったのは「デュオ」と表題作。特に前者は驚かされました。表題作は結末があまり……。残り2編「呪界のほとり」「夜と泥の」はそれほど好みではありませんでした。評価がはっきり分かれてしまいました。全体的に重厚で、明るくコミカルと呼べるのは「呪界」くらいでしょうか。

ネットの書評を少し見たところ高評価がほとんどですが、結構好みの分かれそうな作品だと思います。同著者の長編であるグラン・ヴァカンスも気になるところです。



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[ 2011/04/21 21:49 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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