2011年03月06日(日)

脳と性と能力 

脳と性と能力 (集英社新書)脳と性と能力 (集英社新書)著者:カトリーヌ・ヴィダル、ドロテ・ブノワ=ブロウエズ 他
出版:集英社
発行:2007/06/15

評価〔B〕 男女間に先天的な差はあるのか?
キーワード:性、脳、男女、解剖学、生物学、神経学、心理学

つまり、男性と女性が違うとする<信頼に足る>テストは、口頭の流暢さと三次元の回転のみになる!それも、かろうじてといった程度だ!(第二章より抜粋)


女性は言語能力に秀でていて男性は空間能力に長けている、とよく言われますが真実なのか?そもそも生まれつき能力に差があるのだろうか?などなど、男女の特性を脳科学で検証していく新書です。著者の2人は神経生物学者と科学ジャーナリストという興味深い組み合わせ。「関係する女 所有する男」で言及されていたので読みました。

タイトルにある脳はもちろん、解剖学、遺伝子、染色体、ホルモン、心理実験と様々な面から、一般的に知られている概念を検証しています。歴史を紐解いてみると、白人は有色人種より優れている、男性は女性より優れていると偏見で結論ありきで書かれた論文が多く、信頼に足るものが実に少ないのが分かります。加えて、メディアが伝える新発見は、その後の研究により否定されているものもあり、情報を鵜呑みにしてしまう危険を再認識しました。また、男女の差は経験によって埋め合わせる程度のものでしかないとあって、少々驚くとともに安堵しました。それよりも文化や社会の影響が大きいそうです。能力の差を、性別のせいにしてはいけないと感じました。

本書の裏には、自分の利益のため脳科学を利用している者への不快感があります。社会に蔓延した誤った知識のせいで科学が悪用されないよう、こうした本を出しているのでしょう。その姿勢は頭が下がります。以前読んだ「『社会調査』のウソ」に似ています。

翻訳のせいか、専門的な内容のためか分かりませんが、少し分かりにくいのが難点です。しかし、エピローグでは挙げてきた問題と結論のまとめがあり、素人でも理解できるようになっています。助かります。男女の差に疑問を持ったら読んでみてはいかがでしょうか。



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[ 2011/03/06 22:19 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

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