2011年01月27日(木)

人間はどこから来たのか、どこへ行くのか 

人間はどこから来たのか、どこへ行くのか (角川文庫)人間はどこから来たのか、どこへ行くのか (角川文庫)
著者:高間 大介(NHK取材班)
出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
発行:2010/06/25

評価〔S〕 人間の本質に迫る
キーワード:人類学、人間、最先端、進化論、

このようにいま科学の現場では、人間に関する研究から意外な発見や思わず膝を打ってしまうような発見が相次いでいる。それを知ることは、新しい自己像を知ることであり、自己鍛錬の選択肢を教えてもらうことでもある。(はじめにより抜粋)


それぞれ専門の異なる10人の研究を紹介し、共通のテーマである「人間」を解明していく科学読み物です。2008~09年にかけてNHK放送されたサイエンスZERO「シリーズ ヒトの謎に迫る」をもとに書かれたものです。1章を読んでいて「何かテレビで見たことあるような気がする」と思っていたら、そういうことだったんですね。

タイトルどおり、人間の由来、存在、行く末について記述されていますが、登場する研究者の分野がDNA解析、サル学、ロボット工学、心理学、言語学……と多岐にわたるため、人の一部だけに焦点を当てるのではなく、多面的に見ることができるのが特徴です。それでいて、1つ1つの章が素人にも分かるように、最先端の研究が面白く書かれているので、極めて興味深くワクワクしながら読むことができました。例えば、ジュウシマツの鳴き声から人類の言語の発端を調べ、将棋のプロ棋士とアマチュア棋士の違いから人間の思考の仕組みに挑みます。

昔、教科書で習った常識と思える定説にも疑問を投げかけ、新たな説を論じているのは非常に刺激的で読んでいて楽しいです。全部で10章ですが、将来よりも起源をたどる研究のほうが多いです。どれもこれも面白いのですが、他のサルとの違いを究明する“不思議のサル”や、定説を覆す農耕の発祥説、深層心理が垣間見える心理実験「4枚カード問題」が印象的でした。3章や10章は「ロボットとは何か」「ヒトはどうして死ぬのか」の2冊が既読でなければ衝撃的だったかも。

現代科学では各分野が高度になるにつれ、他分野との繋がりが強くなっています。本書のテーマである人類学も、哲学や社会学、生物の進化論だけでは網羅・対応しきれないから、このように専門家たちがそれぞれ得意分野で研究を進めているのでしょう。より複雑により難解になってきているだけに、本書のような解説本は最先端科学に触れることができてありがたいです。

研究者たちの答えた「人間の定義」が、それぞれの人類に対する見方が分かりなかなか深いです。寄せ集めなのでどうしても各研究の全容を知ることは難しいですが、それでも「人間とは何か」の答えに近づけるだけの内容だと思います。理系の哲学書とでもいうのでしょうか、知的好奇心を満たしてくれます。非常に満足です。




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[ 2011/01/27 21:40 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

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