2010年12月21日(火)

空ろの箱と零(ゼロ)のマリア 

空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)
著者:御影 瑛路
出版:アスキーメディアワークス
発行:2009/01/07

評価〔A-〕 反復の煩さがないのが良い
キーワード:サスペンス、学園、脱出、ループもの

「……いいだろう。演技だろうとそうでなかろうと、説明することに格段弊害はない。そうだな、簡単にまとめると――私はすでに2601回“転校”している」(本文より抜粋)


読み始めてすぐ分かると思うので書きますが、いわゆるループものです。主人公の高校一年生・星野一輝は、時期はずれの転校生・音無彩矢から宣戦布告されます。面識もない彼女からなぜ?彼女の真意は?――と、ライトノベルではある意味定番の出だしですが、その後に続く展開は定番ではありません。ミステリーっぽくもありホラーっぽくもあるサスペンスかと。

この物語は一輝の一人称で書かれているのですが、主人公である一輝が必ずしも記憶を保持できる訳ではない点が面白いです。すっかり忘れている時もあれば、かなり覚えている時もあります。段々読者のほうが知っていることが多くなるのですが、彼は情報をなかなか蓄積できないのが一人称で語られるので、不安に臨場感があります。暗中模索する様子がよく表現できていますね。また、巧妙にループの順番を時系列バラバラにしているので、読者も先が読みづらいです。展開も二転三転します。

設定上、何度も同じことを繰り返すのかと思いましたが、冗長になりそうな箇所はバッサリ切り捨て、くどくならないのが読みやすくて良かったです。

中盤あたりが一番のめり込んだかな。手がかりが出てきては消えるので、ドキドキしながら読みました。ミスリードにも簡単に引っかかっちゃいましたし。願いを適えてくれる“箱”の所有者、所有者の願い、“拒絶する教室”を脱出する方法と、謎が解明し綺麗に終わりましたが、まだ明かされていない謎も残っています。それに、終盤は中盤に比べると失速し、危機が急に解決してしまったような感じがしました。その2つが残念です。

あとがきで著者は、テンターテインメント性の高い読み物といっていますが、気の遠くなるような繰り返しの果てに人はどのようになっていくのかが描かれていて、面白かったです。ループものは好きなのでジャンル効果もあって評価はA-。読後に知ったのですが、これはシリーズもので続きがあるそうです。今は4巻まで出版されているようなので、続きも読んでみたいですね。




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[ 2010/12/21 21:58 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

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