2010年12月02日(木)

Self-Reference ENGINE  

Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)
著者:円城 塔
出版:早川書房
発行:2010/02/10

評価〔B+〕 分かったような分からないような面白さ
キーワード:SF、時間、知性体、宇宙、次元、連作短編

束になって歩いていた時間たちはある日、そんなことにはもううんざりだとばかり、てんで勝手な方向へ伸び始めた。うろたえたのは、時間の中のあらゆるもの。大概のものは時間の中に棲みついているのだから、そんな勝手をされては堪らない。(プロローグより抜粋)


どう説明すれば良いのだろう……。時間の流れが混乱した世界を、様々な視点から表現した連作短編風SFです。おそらく。もう少し詳しく言うと、時空間がめちゃくちゃになった原因である「イベント」が起きる前後の物語です。時間の流れが通常でないのに前後というのも変なのですが。20編の短編から成り立っています。

巨大知性体と呼ばれるコンピューターの進化したものが出てきたかと思えば、床下から祖母のやっかいな遺品にまつわる話など、本当に色々な切り口からこの世界を描写しています。分かりやすい話もあるのですが、話の規模が大きく、また抽象的になるにしたがって難解になっている気がします。エピローグも含めて。他の書評を読んでみて、かなりの人が「よく分からなかったけれど、面白い」と書いています。共感できます。しかし、十分に理解した自信はないけれど、読んでいてなんかしら面白いと感じることがあるのです。

好き、というか印象的だったのは「Ground256」「Tome」「Contact」「Bomb」「Infinity」「Echo」あたりでしょうか。アルファ・ケンタウリ星人のあの雰囲気は好きですし、自己消失オートマトンは面白いアイディアだよね。気の遠くなるようなSFならではの壮大さも良いけれど、複雑で難しすぎるのも考えものです。本筋にあまり関係ない独立性の高い短編もあるところが、割り切って楽しむにはありがたいです。「Freud」とかね。残念なのは、何度も書きますが難解な点です。もう少し説明が欲しかったです。巻末の解説を読むと全体の繋がりがはっきりとしてくるので、大変ありがたかったのですが、それはできれば本編で分かるように書いてくれれば良かったのになぁ……うーん、読解力が足らなかったのかな? 

もっと深く読むことができれば一層面白い作品だと思いますが、現時点では分かったような分からないような。何でもありで何にもなく、何にもなしで何でもありのこの物語。また後で数編ずつ読み返してみよう。



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[ 2010/12/02 23:00 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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