2010年11月27日(土)

太宰治全集〈2〉 

太宰治全集〈2〉 (ちくま文庫)太宰治全集〈2〉 (ちくま文庫)
著者:太宰 治
出版:筑摩書房
発行:1988/09

評価〔C+〕 初太宰には向かないかも。
キーワード:文学、太宰治、全集、

結局は、私ひまなもんだから、生活の苦労がないもんだから、毎日、幾百、幾千の見たり聞いたりの感受性の処理が出来なくなって、ポカンとしているうちに、そいつらが、お化けみたいな顔になってポカポカ浮いて来るのではないのかしら。(女生徒より抜粋)


言わずと知れた小説家、太宰治全集の2巻です。入院や心中未遂など混乱し葛藤していた時期の作品が収録されています。裏表紙には、『時に太宰、30歳。生への意欲が燃え、文学への情熱が湧き上がる』とあります。

教科書以外で初めて太宰治を読みました。ずっと読んでみたい気持ちがあったのですが、それほど強くなくただ漠然とした感じだったのです。で、最近になって少し古典に触れるようになり、もういい大人になったし読んでもさっぱり分からないってことはないだろう、と思い挑戦することに。なぜ全集かというと、以前ちょくちょく覗いていたサイトで太宰治全集は素晴らしいと絶賛していたのが頭に残っていて、読むなら全集を読もう!と無謀なことを望んでいたからです。

正直言って、最初のほうを読んでいる時は、何度も途中で読むのを止めようかと思いました。序盤の数編は思考や感情が大きく揺れ動き、ついていくのがやっとでした。読後に気がついたのですが、著者が惑乱している時期に書かれたそうです。「燈籠」から、読んでいて小説を読んでいる感じになってきました。全体的に短編が多く、長いのは「女生徒」と未完の「火の鳥」くらいでしょうか。今まで読んでいた小説と違って、登場人物の過去がずらずら記述されることがあり、話が分断されてしまったような感じがして好きではありません。何か人生の本質のようなことを喋ったり考えたり悩んだりする点は良いんですけどね。

印象的だったのは「燈籠」「女生徒」「懶惰の歌留多」「葉桜と魔笛」です。「女生徒」で少女の次々に変化していく思考を追っていると、他人の心を覗いたらこんな風に見えるのかもしれないと思い、なんか面白いです。逆に、自分の思考も他人が見たら脈絡が無いように見えるのでしょうね。P180の、

私たちには、自身の行くべき最善の場所、行きたく思う美しい場所、自身を伸ばして行くべき場所、おぼろげながら判っている。

が好きです。鋭い。また、「懶惰の歌留多」で怠惰であるが故に魚肉が嫌いと書かれていて、少し笑ってしまいました。結構同感です。僕は団扇は好きだけれどね。名作と言われる「富嶽百景」はそれほど心を打たれませんでした。

それにしても序盤の印象が悪くて、やはり読みづらいイメージが残ったままずっと読んでいました。読む順番が違っていれば評価も変わったかもしれません。序盤は太宰のファンで、著者の一生を知っている人が読めば興味深いのでしょう。僕のように初めて読む人が読む作品ではないと思います。この一冊で著者が分かるわけではないので他の作品も読む予定ですが、次も全集で読むか、とっつきやすい作品だけの本を読むか迷います。さてさて。



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[ 2010/11/27 21:30 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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