2010年10月07日(木)

田宮模型の仕事 

田宮模型の仕事 (文春文庫)田宮模型の仕事 (文春文庫)
著者:田宮 俊作
出版:文藝春秋
発行:2000/05

評価〔A-〕 突き抜けた模型愛の仕事人
キーワード:自叙伝、模型、プラモデル、仕事、

私がまったく休憩をとらないので、彼らは信じられないという顔をしていました。でも、私は好きでやっていることなので、いっこうに疲れを感じません。むしろ撮影は、好きな戦車に接して楽しんでいるという気持ちだったのです。(第四章より抜粋)


模型やプラモデルの愛好家ならば知らない人はいないであろう有名な企業・タミヤの社長が書いた自叙伝です。名前は知らなくとも、おもちゃ屋やおもちゃ売り場に行けば目にする、赤と青を背景とした白星2つのマークは見覚えがあるのではないでしょうか。プラモデルが趣味である僕の某血縁者が、「外国メーカーのプラモはパーツが合わないことがある、でも、タミヤのならばぴったり合う」みたいなことを言っていたのを思い出します。そんなタミヤの歴史とともに彼の半生が綴られています。

地方の一模型メーカーの田宮模型から、世界一の品質を誇る(株)タミヤに成長するまでの、様々な苦労や困難が書かれていますが、著者がはりきって仕事をしているのでむしろ楽しんでいるように見えます。ある取材では、監視員がいなくなったのを見計らっては、目当ての戦車の上にのっては車体上部を撮影し、また、ある開発研究では、仕組みを知りたいがために高級車ポルシェを買って全部分解してしまいます。やり過ぎだと笑ってしまいましたが、こうした飽くなき探究心が並々ならぬ情熱と結びつき、今のタミヤの品質を人気を生み出しているんだと痛感しました。自分の仕事を天職だと書いているのが良く分かります。彼は企画者も設計者も皆模型が好きだと言っていますが、1番模型を愛しているのは彼でしょう。趣味は仕事にしないほうが良いと主張する人もいますが、ここまで好きならそんなことはないのかもしれません。

加えて、商品開発のアイディアの出し方や手間隙かけた現物の取材、そして顧客の満足度に配慮した設計と、その仕事振りは素晴らしいです。プロジェクトXのような面白さかもね。メーカーとしての企業の在り方、社会人の仕事に対する姿勢は参考になり、学ぶことが多いと思います。著者は、情熱・知識・向上心・行動力・経験と、どれもどの社員よりも上回っていそうなところが凄いです。

終章には、取引相手のデビッド・ビンガーが著者へ送った手紙が収録されていて、客観性も加わって厚みが増しています。模型ファンならば是非読んで欲しい本ですね。僕のように模型愛好家でない人でも、十分楽しめる一冊です。



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[ 2010/10/07 21:48 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

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