2008年04月18日(金)

数学的思考法 

数学的思考法―説明力を鍛えるヒント  講談社現代新書数学的思考法―説明力を鍛えるヒント 講談社現代新書
著者:芳沢 光雄
出版:講談社
発行:2005/04/19

評価〔B〕 四則演算だけが数学ではないのです
キーワード:数学、論理的思考、コラム

「ムカツク」とか「笑える」という言葉ばかりを多用する若者を批判するのはいいが、大人たちだってもっともらく言葉を飾り立てているだけで、「結論だけ」では五十歩百歩なのである。


難しそうな題名でとっつきにくい感じのする本かもしれませんが、数式や方程式はほとんど使われてなく、ひとつひとつが短いコラム風で読みやすいです。数学は数字の計算というイメージが強いと思いますが、計算や解法の暗記ではなく試行錯誤の重要さを説いています。物事を手早く処理していく能力よりも、問題を発見し解決策を探る能力のほうが大切であると。

各項において具体的な例を挙げて説明しています。例を挙げると、地図の説明を練習すると論理的思考力がつく、です。家から学校や職場までどのような道順で来たのか説明させると、説明力がすぐわかるとあります。確かに初めてのところでも迷わないように他人を誘導するのは難しいです。自分では当然と思っている知識、道や建物の名称も知らない人に分かるように教えるのは、かなり具体的に正確に説明しなければなりません。図形の証明も同じで、あの点とこの線が、では論理的説明とは言えません。

暗記的な計算訓練や穴埋め問題では説明力がつかず、それよりも証明問題を解いたほうが良いと主張しています。証明問題で試行錯誤する力、考える力を養うべきだという意見です。著者が学校の数学で、証明問題が少なくなったことを憂う理由もそこにあります。

他にも、物の性質だけでなく量の重要さを説いたり、データ数によって変わる統計の評価を示して、本質的なものの見方を説明しています。様々な方法で思考法を説明していますけれど、中でも「たとえば」の上手な用法や見えない誘導尋問の話、宇治十帖の統計による解析が興味深かったです。

数学嫌いの文系の方で、数学は四則演算だけで十分と感じていると思いますが、そういう人にこそ数の使い方・捉え方を間違いないように、また結果論的思考に陥らないために読んでもらいたい本です。数学が何のためにあるのかピンとこない人にも良いと思いますよ。


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[ 2008/04/18 18:53 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

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