2010年09月25日(土)

紫色のクオリア  

紫色のクオリア (電撃文庫)紫色のクオリア (電撃文庫)
著者:うえお 久光
出版:アスキーメディアワークス
発行:2009/07/10

評価〔A〕 壮大で衝撃的SFラノベ
キーワード:SF、クオリア、量子力学、シュレディンガーの猫、

毬井ゆかりは、ニンゲンがロボットに見える。それは、どうしても変えることのできない絶対条件。(本文より抜粋)


自分が感じている主観的感覚をクオリアと言います。例えば、色を見て青い、物を食べて美味しい、贈り物を貰って嬉しいなど、他人とは比べることのできない感覚です。本書は、そのクオリアにまつわるSFライトノベルです。

自分以外の人間がロボットに見える中学生・毬井ゆかりと、その秘密を知る友人であり語り部でもある波濤マナブを中心として描かれる二話+エピローグ。前半の「毬井についてのエトセトラ」を読んでいる時は、軽めのSFかなくらいに思っていたのですが、後半の「1/1,000,000,000のキス」を読み進めるうちに感想が変わりました。物語の急展開・急加速で、どこまで突き進んでいくんだろうと困惑と期待でドキドキした。文章や構成が上手いというよりとにかく衝撃的でした。穏やかな表紙からはとても想像できません。劇中のトライ&エラーが印象に残ります。

常人とはかけ離れた凄い能力を持っていて世界を変えられるほどなのに、実に個人的なことだけに執着している点は、少しブギーポップに似ていると感じました。壮大だけれども、非常に身近なお話です。

題名にあるクオリアをはじめとする心理学・哲学そして物理学の専門用語は、物語の中でも説明されていますが、こういうSF用語のようなものは、やはり読む前から知っていたほうがすんなり読めると思います。SFを読みなれている人には、お馴染みなのかもしれませんが。

以前読んでいた同著者の「悪魔のミカタ」は、登場人物が好きになれず途中で止めてしまったのですが、この本は満足です。ネットで評判が良かったので読んでみたのですが、正解でした。ライトノベルとSFの中間くらいにあるこの小説、面白かったです。SFにちょっと興味があるくらいの人は、特にお勧めです。



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[ 2010/09/25 11:56 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

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