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2010年09月12日(日)

反貧困―「すべり台社会」からの脱出  

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
著者:湯浅 誠
出版:岩波書店
発行:2008/04

評価〔A〕 貧困の現場とその対策の実情
キーワード:貧困、社会、現代、

本人の責任として片づけるにはあまりにも多様な人たちが、日々新たに貧困に陥っている。そのことは、現代の日本社会に人々が貧困化する構造的な要因があるのではないか、という疑念を生じさせる。(第1章より抜粋)


経済の停滞により非正規雇用が増え、労働者全体の収入が下がってきていることにより、生活すること生きること自体が困難になっている人々がいます。そんな貧困層の現場と実情が生々しく語られているのが本書です。著者は、読み終わってから知ったのですが、2008年末に話題になった派遣村の村長をしていた方です。

6章2部構成になっていて、前半は、貧困はなぜ広まっているのか、どのような生活なのか、政府の対応などが述べられ、後半は、貧困問題にどう取り組んでいるのか、活動家である著者の奮闘が書かれています。貧困に喘ぐ人の相談にのったり、日雇い派遣として実際に働いてみたりと、上から目線ではない実体験に基づく見解は貴重です。「生活保護申請は一人で行ったときと、支援者と二人以上で行ったときとでは職員の態度が違う」は、体験してみなければ分からないことだけに驚きました。

よく言われている「貧困は自己責任」論が間違っていることは、なんとなく分かっていたので驚きはしませんでしたが、ネットの書評では啓蒙されたと評している方が少なくありません。それよりも、自助努力の欠如ならぬ自助努力の過剰や、自分自身からの排除のほうが新鮮で納得してしまいました。この2つを知っているか知らないかで、テレビや新聞の報道の見方が変わるのではないでしょうか。また、生活最低費としての生活保護基準など、専門的に関わっている人しか知らない情報も記載されていて、ためになります。

著者の言う“溜め”を作るために「たすけあい金」や居場所作りが重要になるんだと思います。終章にあるように、対立して違う立場の者を非難しても自分の暮らしは良くなりません。

2年以上前に書かれた本ですが、今の問題として読むことができました。国内の貧困を認めたがらない政府や、貧困層を食い物にする貧困ビジネスなどまだまだ問題がありますが、活動家たちのがんばりによって、少しずつ変わりつつあります。社会について考えさせられましたし、社会全体の問題として認識しなければならないでしょう。為政者や組織の上に立つ人は、こういう本こそしっかり読んでおくべきです。




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[ 2010/09/12 14:58 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

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