2010年08月25日(水)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ 

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)
著者:田中 ロミオ
出版:小学館
発行:2008/07/19

評価〔A-〕 自称異世界戦士の日常
キーワード:現代、オタク、学園

そして<邪聖剣士ツヴァイ・バンダー><世界議長><闘装騎震イグナイト>のような連中を、なんと呼ぶか。諸説あるだろうが、俺はこう名づけている。この連中こそ――<妄想戦士>。(本文より抜粋)


人気ゲームシナリオライターである田中ロミオが書く、初の学園ラブコメです。とは言ってもギャルゲーのシナリオライターなのだから、まったくの初めてのことと言うほどではないのではないでしょうか。新学期が始まり、クラスメイトとも段々打ち解けてきたメンズこと佐藤一郎と、同クラスの佐藤良子を中心に物語は進んでいきます。

特筆すべきは、やはり妄想戦士でしょうか。妄想戦士とは、オタク趣味が高じて自分は只者ではない、例えば異世界の魔法使いであるという設定を、作ったり信じたりしている人々の総称です。ヒロインである良子もそんな妄想戦士の一人で、彼女の目を引く言動が上手く描かれています。現実である教室でも気にせず振舞うその姿は、痛々しくもあり、笑ってしまうものでもあります。身に覚えのある方もいるのではないでしょうか。一郎が良子にいちいち突っ込むシーンが軽快で面白いです。「ブギーポップ先輩だって」発言は不意をつかれてだいぶ笑ってしまいました。

自分の設定に生きる人たちと現実との差がまざまざと書かれていて、メタ・ライトノベルのように感じました。ただ笑わせるだけでなく、真面目な面もあるところが心憎いです。文章もスピード感があって読みやすいです。終盤に入って思わぬ展開になるのですが、クライマックスで一郎が良子のために取った行動は、見事なものでした。それを見た彼女の最初の一言も良かったです。感動。なぜか「NHKにようこそ」を思い出してしまった。

良くなかったと思う点を少々。まず、巻頭カラーページを見ると、良子がどのような人物なのか読む前に分かってしまうのが気になりました。そして、主人公の一郎の過去が秘密のまま進みますが、読者はすぐに分かってしまうので、序盤で明かしてしまっても良かったんじゃないのかな。構成上やむをえなかったのでしょうか。

現実の自分でない自分を空想したことのある人なら、読めばきっと思うところがあるはず。空想癖が強い人ならばなおさらです。それに、ライトノベルを読むのが好きな人ならば、本書は面白いと思いますよ。



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[ 2010/08/25 22:33 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

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