2010年08月15日(日)

ロボットとは何か――人の心を映す鏡 

ロボットとは何か――人の心を映す鏡  (講談社現代新書)ロボットとは何か――人の心を映す鏡 (講談社現代新書)
著者:石黒 浩
出版:講談社
発行:2009/11/19

評価〔S-〕 現実だけどSFのような研究レポート
キーワード:ロボット、アンドロイド、現代

これほどまでに人間は人間らしい見かけに敏感なのに、私を含めロボットの研究者は、なぜその見かけの問題を無視してきたのだろうか?(第3章より抜粋)


数年前、日本の大学が開発した人間そっくりのロボットを、テレビで紹介しているのを見ました。似ているなんてものではなく、本当に精巧にできていて感心しましたし、さらには遠隔操作で滑らかに動くさまを目にした時は、まるでSFの世界のようだと驚嘆したのを良く覚えています。本書はそのロボットを開発した大学教授が書いた、ロボットに関する読み物です。

大阪大学と言えばロボット工学では世界一とも評される大学で、最先端の研究をしているところです。そこの先生が書いているのだからさぞかし硬く難しいのかなと思ったのですが、読み始めてみるとそうでもなく、専門外の人が読んでも分かりやすいです。どうして人間型ロボット、いわゆるアンドロイドにこだわるのか?から最新の研究まで、著者の感想を交えて述べられています。

人に似たロボットを見たときに感じる「不気味の谷」はなるほどと思いますし、ロボットが演技に挑戦した「ロボット演劇」や、ある夫婦がアンドロイドを操作した時の出来事は、非常に興味深いです。こうした実際アンドロイドに接した人々の、予期せぬ反応や感情の変化はおもしろいです。

この本の中では、社会で人と繋がるロボットを作るということは、心とは何か?人間のとは何か?を探求することに至ると、何度も主張されています。ロボットについて研究していくと、工学の問題がやがて心理学や哲学の問題に行き着く点が非常に興味を惹かれます。最先端の工学が科学の原点である哲学に戻ってくるのが、なんか良いね。研究レポートの後は今後の予定、そして研究、ロボットの未来について書かれています。性的情動、学習・発達、ロボットの人権……現時点でも結構SFっぽいのに、どこまで進んでしまうだろう。SFとの区別がつかなくなる日も遠くないのかも。

新書は初心者向けとしてのものが一般的だと思うので、最新の研究を覗くことができるのは稀ではないでしょうか。理系のみならず、機械音痴の人にも自信を持っておすすめできる本です。とても知的好奇心を刺激された本でした。評価A+かS-か迷いましたが、SF好きなのでS-で。



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[ 2010/08/15 14:33 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

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