2010年06月03日(木)

プシュケの涙 

プシュケの涙 (メディアワークス文庫)プシュケの涙 (メディアワークス文庫)
著者:柴村 仁
出版:アスキーメディアワークス
発行:2010/02/25

評価〔A-〕 話の筋ではなく構成がポイント
キーワード:SF、現代

「俺たち二人で探ってみないか」
「何を」
「なぜ吉野彼方は自殺したのか」
(本文より抜粋)


物語は一人の少女が自殺したところから始まります。なぜ彼女・吉野彼方は自殺したのか?疑問を持つ少年・由良と、事件の目撃者の少年・榎戸川がその謎を追います。本書は2009年に電撃文庫から出版された同タイトルを、細かい点を手直ししてはいますが内容はほとんど変えず、メディアワークス文庫から再刊行したものです。

この小説は前半と後半が分かれていて、2部構成になっています。上記のように前半は推理もの、後半は一転して青春ものなのですが、その構成の巧みさによって物語により奥深さがでています。厚みがある感じ。詳しく説明するのは避けますが、相互に影響し合って、読んでいると感情が入り混じって複雑な心境になります。前半も後半も個々で読めばこれほど強い印象は残らなかったでしょう。読後には、またすぐに前半を読み返してみたくなると思います。そして、読み返すと全然違ってみえるから素晴らしいです。

話の筋は、前半は良い意味で予想外でしたが、後半は素直な展開でした。斬新で奇抜な着想ではありませんでした。その点が残念と言えば残念かも。奇抜といえば、作品中で由良は“変人”と称されていますが、確かに個性的ではあるけれど変人ってほどではないと思うけどなあ。印象に残ったのはぶわぶわくんのシーンと最後の美術室での一幕。後者の最後の文が、なんとも綺麗で悲しく、そして切ないです。

ライトノベルと一般書籍では、やはり一般書籍に近いと思いました。続編であるハイドラの告白、セイジャの式日も刊行されていて、そこでは由良のその後を見ることができます。そちらも期待できそうです。





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[ 2010/06/03 21:38 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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