2010年05月26日(水)

カスタム・チャイルド 

カスタム・チャイルド (電撃文庫)カスタム・チャイルド (電撃文庫)
著者:壁井 ユカコ
出版:メディアワークス
発行:2005/04

評価〔C-〕 もう少し波乱があっても良いかと。
キーワード:SF、遺伝子工学、現代

 硬質な感じの瞳でまっすぐこっちを見据えて、少女がはじめて口を開いた。若干ハスキーなトーンの、非常に一方的な感じのする早口の喋り方で。
「家近いの?泊めて」(本文より抜粋)


遺伝子技術の異常進化を遂げた世界で、ある出来事を契機に、怠惰な感じの男子大学生・三嶋と謎の少女・マドカが偶然出会う物語です。以前感想を書いたメディアワークス文庫の「カスタムチャイルド罪と罰」の元となった本です。もっともこちらはMW文庫ではなく電撃文庫から出版されていますが。「罪と罰」が良かったので、本書にも興味を持ち読んでみました。

三嶋は一般人でありながらスラム街に出入りし、遺伝子操作により異形の姿となった人々とも交流しているので、脇役もなかなか個性豊かです。また、複雑な家庭環境を持つ登場人物もいて、そのあたりは「罪と罰」と似ています。一方マドカにはある秘密があって、それが物語の核心となっています。本の総ページ数がかなりありますが、それが苦にならないのは文章が上手いからなのでしょうか。同著者の「キーリ」のように、読点の少ない長い文が特徴的です。

しかし、設定が十分に活かされているかと問われれば、自信を持って肯定はできません。スラム街の人々の問題、三嶋や友人であるススキの悩みは、現代社会にも似たような形で存在していると思います。それに、「キーリ」同様、展開がある程度予想がつくのが、残念でした。悪くはないんだけど、インパクトに欠けます。

世界観は好きですし、登場人物たちも嫌いではないのですが、満足度は高くなかった本書。「キーリ」が好きな人はこの本も気に入るでしょうが、個人的には「罪と罰」のほうが面白かったです。




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[ 2010/05/26 21:10 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

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