2010年01月09日(土)

関係する女 所有する男 

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)関係する女 所有する男 (講談社現代新書)
著者:斎藤 環
出版:講談社
発行:2009/09/17

評価〔B+〕 ちょっとまとまりのない感じもします。
キーワード:男女論、性差、ジェンダー、精神分析

僕の目論見は、あたかも男女格差本のパロディのような体裁をとりながら、「男女の違い」というイメージを最終的に解体してみせることだ。(はじめにより抜粋)


今年最初の本に選んだのは新書でした。社会的文化的性差、すなわちジェンダーについて書かれたよくある本かと思いきや、巷に溢れる安易な男女論を強く批判し、精神分析の観点から男女の違いを解き明かすことに挑戦した少し固い本です。先月に読んだ「社会調査のウソ」に近い立ち位置で、強い主張を持った新書だと思います。

フロイトやラカンの理論から男性は所有原理、女性は関係原理に基づいて生きているとし、結婚、精神疾患、趣味の違いと様々な具体例を挙げて論じています。興味を引いたのは趣味の例としておたくに注目した点で、腐女子を分析しているのは新鮮で面白かったです。加えて、脳科学による性差は証明されていななく、言語を司る部分以外は左脳右脳で違いはないことや、男女で身体感覚が異なり、女性が男性よりも身体性が重要であることは、知らなかったのでためになりました。

「欲望の二大原理」の成り立ちは少々腑に落ちない部分もあったし、具体例の説明も無理やりこじつけたような気がする箇所もありました。立場を所有する、という言い方は違和感があるなあ。どちらかといえば、所有原理より関係原理のほうが納得いきます。また、「ファルス的享楽」をはじめとする精神分析の専門用語は、なるべく噛み砕いて説明しようと努力しているのは分かりますが、すんなりと頭に入ってこなくて読むのに難儀しました。

観念的な話をしたかと思えば、結婚生活など現実的な話にとんだりと、全体としてちょっとまとまりに欠くような印象を受けましたが、鋭い分析をしている箇所もあり、性のありようを認識する上で、ひとつの指針となりうる理論なのではないでしょうか。




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[ 2010/01/09 21:58 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

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