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2018年04月29日(日)

いたいのいたいの、とんでゆけ 



著者:三秋縋
発売日: 2014/11/21

評価〔B〕 人を選びそうな物語です。
キーワード:青春もの、現代、SF

「信じられないのも無理ありません。当人ですら、なぜ自分にそんなことができるのか、未だにわからないんですから」(本文より抜粋)


なかなか一言で表現できない読後感です。無気力な生き方をしている大学生の瑞穂はとある女子高生と出会い、彼女の復讐の手助けをすることになります。そこに少しだけSF的な要素が加えられていて、個性的な復讐劇となっています。

復讐するからスカッとするかというと、そうでもありません。むしろ物語は暗く重く、暴力的な場面も多々ありますので、悲惨な描写を受け付けない人にはお勧めできません。しかし、傷ましい話のわりには、どこか温かみのある独特の雰囲気があります。人生がうまく行かなくても、もう少しだけがんばってみようという気にさせてくれます。読んでいてどこか乙一の作品に似ていると感じました。

あの結末をどうとらえるかによって評価が分かるでしょう。すっきりせず残念だととらえるのか、幸福を見出すことができて良かったと思うのか。私はどちらとも言い切れませんが、現時点では後者のほうがやや強いかな。あとがきに書いてある「元気の出る話」の意味が分かるよう気がします。



ネタばれ話はつづきにて↓

【ここからネタばれ】
結末について。
劇中ではどちらの世界になるのか明確にしていませんでしたけど、最初に瑞穂がジェットコースターで亡くなったのだから、それが本来の世界なんだと思います。瑞穂が車で霧子をひいたのは<なかったこと>にしている状態での事故なので、事故はなかったことになります。そもそも瑞穂は大学生になることなく亡くなったのだから、事故を起こせないと思うのですがどうでしょうか。
まあ本書の意義は、落ちた穴の中でも救いがあることを示すことなので、どちらが生きている世界になるかは重要ではなさそうです。

【ネタばれここまで】
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[ 2018/04/29 18:45 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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