 
| 著者:西 研 発売日: 2012/11/3
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評価〔A〕 考えることは簡単なようで難しいです。キーワード:哲学、本質、人生、社会、
人は意外なほど、ほんとうは自分は「何が」気になっているのか、をわかっていないもの。そこを見つめようとする勇気と、つきつめて根っこからわかろうとする意志から「考えること」ははじまる。(プロローグより抜粋)
教科書のような題名ですが、あまり専門用語を使わず素人でも読めます。しかし、分かると思って読んでいると、いつの間にか難しい問題へと突入しているので油断なりません。抽象的な概念が数多く登場します。
四章でも言及されていますが、唯一の真理や美はなく、本書を読めばてっとり早く全て分かるという訳でもありません。むしろ上記の引用のとおり、深く突き詰めて考えることの大切さを痛感するばかりです。生き方や人との関係の本質についてそれぞれ考えるきっかけを与えてくれる内容で、練習問題という題名がぴったりです。
ネットで時々見かける宇宙の果てはどうなっているの問題が取り上げられていて、それに対する解答(もしくは証明)が非常に面白かったです。宇宙を考えているのに、いつのまにか人間について考えているのが奇妙な感じです。また、異文化交流は違うから面白いのではなく、違いの中に共通性を見出すことが理解に繋がると書かれていて印象深かったです。まるっきり違う文化には本当に違和感しか覚えないのでしょうか。興味深いです。
各章の終わりには参考文献(推薦図書?)が挙げられていますので、気になった主題はさらに追いかけてみるのも楽しいかもしれません。こうした記述は読者の視野を広げる一助となるので、どんどん書いて欲しいです。
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