 
| 著者:加藤 元浩 発売日: 2013/2/15
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評価〔B+〕 描き下ろしが良い。キーワード:推理、謎解き
「この問題は“問いかけ”ではなく“メッセージ”のような気がしたんです」(本文より抜粋)
いつもどおり1冊に2話収録ですが、後半の「Question !」は描き下ろしです。この「Question !」がなかなか面白かったです。
燈馬たちと家庭裁判所で調停を行っていた人たちに、差出人不明の宿泊招待状と奇妙な問題が届きます。皆、訳の分からないまま人里離れた別荘に集まり、謎解きを始めることになります。殺人事件のような派手さはありませんが、数学ネタ、今回はフェルマーの定理を絡めていて本シリーズらしさが出ています。ちりばめられた一つひとつの謎は難問ではありませんが、同時進行する別の問題を解くための鍵になっているのが巧みです。トリックや謎よりも、テーマの良さが光った物語でした。
こうした解決して終わりでなく、読後感が良く余韻に浸たれるエピソードがあるのがいいところ。あまり強調せず、説教臭くないのも好感が持てます。この点で言えば、前半の「チューバと墓」も悪くなかったのかもしれませんね。
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