 
| 著者:小林 恭二 発売日: 2000/06
|
評価〔B〕 評価が難しいなぁ。キーワード:電話、コミニュケーション、文庫化、
わたくしたち電話男は、もともと人の話を聞く一方の存在でして、すすんで、人に話をするような習慣は持ち合わせておりません。(本文より抜粋)
電話男は無報酬でどんな話も聞き、文句も言わず自分からは電話を切りません。ただ相手の話を聞くだけの人々は、個人にそして社会にどのような変化をもたらすのか。同じ世界をそれぞれ違う角度から見た、中編2つを収録しています。1987年に出た単行本を文庫化したものです。
2編とも人と人とのコミュニケーションを描いた物語ですが、インターネットや携帯電話が普及する前に書いたとは思えないほど、古さを感じさせません。某が個人的な考えとして知恵と感覚について語っていますが、これがなかなか興味深いです。一過性の社会問題なのか、それとももっと重大な何かなのか。
個々の具体的な物語から人類共通の抽象的な話へと移っていくので、娯楽小説のような良くある分かりやすい面白さはありません。もっと本質的なことを語っているのですが、分かったような分からないような・・・・・・もう一回読まなきゃダメかな。つまらなくはないですが、面白いかと言われると躊躇ってしまいます。抽象概念が好きな人には進めますが、人を選ぶ本だと思いました。
スポンサーサイト