2018年05月26日(土)
 
| 著者:周藤 蓮、 ニリツ 発売日: 2017/3/10
| 評価〔B〕 結構地味で結構渋い。キーワード:賭博師、近代ヨーロッパ、トランプ、奴隷、 「おはようございます、ラザルス様。商品のお届けに上がりました」(本文より抜粋)
不況で賭け事をする人が少なくなったとはいえ、まだまだたくさんいます。いつの世もどこの社会でも賭け事は人気です。賭け事はお酒と一緒で人間の歴史の中でなかったことはあるのだろうかと疑問に思います。本書の主人公ラザルスも賭け事が好き、ではなく賭け事を仕事にしているギャンブラーです。 ライトノベルにありがちなヒロインの強烈な個性で突っ走るタイプではなく、読者の馴染みのない世界、十八世紀末のロンドンの様子を丁寧に描写していて興味深いです。地味と言えば地味ですが、中世が終わり近代に入った頃の生活や街の様子などが新鮮でした。ラザルスと出会う奴隷少女・リーラも、当時の奴隷はこんな風だったかもしれないと思わされます。 本題のギャンブルは盛り上がりはしますが、予想を大きく外れることもなく、捻った展開を期待していただけに少し残念でした。意外とあっさりした印象でした。 表紙も口絵もリーラを推していますが、萌え要素はかなり少なめです。ギャンブルものとしてよりも、時代小説として楽しめました。
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2018年05月26日(土)
 
| 著者:るーすぼーい、古屋庵 発売日: 2017/5/22
| 評価〔A-〕 表紙の隠そうとしない感じも好き。キーワード:能力者、学園、サスペンス、アクション 「これ、どーいうこと?」(本文より抜粋)
任務を果たしていくナナですが、今回も強力な人類の敵に悪戦苦闘します。 彼女の強さは、どんな窮地に陥っても諦めない精神力です。もうこれダメだろうという状況になっても、冷静さと頭の回転の早さで乗り越えていくさまは、見ていて感心してしまいます。あの柔軟性や適応力は羨ましい。 他の書評で、頭脳戦にしては突っ込みどころが多いとの記述がありました。確かに緻密な設定とは言えませんし、いくつか都合の良い展開があります。しかし、それを上回る緊張感や面白さがあったと思います。敵も自分の強さを過信して油断していると考えれば、ある程度は目をつぶっても良いのではないでしょうか。・・・・・・甘い? テンポよく進んでいるので、今のところストーリの穴はあまり気になりません。この勢いで突き進んでもらいたいです。
2018年05月18日(金)
 
| 著者:中野 信子 発売日: 2016/11/18
| 評価〔A〕 きちんと理解できてよかった。キーワード:サイコパス、犯罪、精神分析、共感、合理性、 表情や音声から他者の感情を読み取る実験をおこなうと、「怒り」「喜び」「驚き」といった感情については一般人と同程度に読み取れるものの、「恐怖」「悲しみ」を察する能力には欠けていることがわかっています。(第1章より抜粋)
報道で伝え聞くサイコパスは、血も涙もない殺人鬼といったイメージでしたが、本書を読むとそれは正しくないと分かります。犯罪者の中のごくごく一部の人たちの特徴をそう呼ぶのかと思っていたのですが、もっと範囲が広く、全人口のおおよそ1%が当てはまります。その中には成功者もいれば違法行為をして捕まる者まで様々です。例としてブラック企業の社長などが挙げられていて、なるほどなと思ってしまいました。 サイコパスの人たちはあたかも感情がないかのように言われますが、他者の感情を読み取る能力が高いのが意外で興味深いです。それが同情や共感を伴っていればよいのですが、共感性は低く合理性のみで行動していく点が一番の特徴だと感じました。感情のない合理性は、冷静という表現を通り越して違和感を覚えます。なぜ冷酷な言動を取ってしまうのかが分かります。 また、遺伝と環境のどちらの影響が大きいのか調べていて、現状では遺伝のほうが大きそうです。単に結果だけ示すのではなく、反社会的行動に向かわないための要素、解決法も示していて良かったです。詳しくは第3章の3脚理論をご覧ください。 今までぼんやりとしたイメージしかありませんでしたが、こうして一から説明を読み、偏見が少なくなったことは収穫でした。サイコパス気質の人と出会っても振り回されないよう注意したいです。
2018年05月18日(金)
 
| 著者:蛇蔵 発売日: 2014/12/22
| 評価〔B+〕 軽めでコミカルな偉人紹介です。キーワード:科学史、科学者、伝記、偉人、理系、 「全員手を洗いましょうか。ゼンメルヴァイスの冥福を祈りながら」(本文より抜粋)
研究者の偉人たちをコミカルに紹介する科学史もしくは伝記漫画です。子供向けの伝記漫画が近いですが、あれよりもずっと短くコミカルです。 大学の理系の研究室が舞台で、個性的な先生と学生、そして科学に詳しくない人が登場することによって、自然科学が苦手な人にも読みやすく親しみやすい形となっています。伝記と言ってもその生涯をまるごと伝えるのではなく、かなり省略して必要な逸話のみ触れていますので、軽くさらりと読むことができるのも長所です。 本筋とは関係ない雑学も知らなかったものが多く、話のタネとして面白いです。科学って難しくてと敬遠している人や子供にはちょっと読んでみてほしいです。漫画だから取っつきやすいですし。
2018年05月09日(水)
 
| 著者:王城 夕紀 発売日: 2016/7/28
| 評価〔B〕 一問も解けなさそうです。キーワード:数学、数学オリンピック、証明、高校生、 「数学は、数字だけでできているわけじゃない」(本文より抜粋)
数学オリンピックをご存知でしょうか。その名の通り、数学の問題を解くことを競い合う大会なのです。十代のころ少し興味を持ち、どのような問題を解いているのか調べてみたのですが、どのくらい難しいのかも判断できないほどさっぱり分からなかったのを覚えています。本書はそんな学校の数学レベルを遥かに超えた証明問題を解きあう、高校生たちの物語です。 主人公の高校生・栢山(かやま)は、数学で決闘するサイト『E2』を知り、数学にのめり込んでいくわけですが、この相手と競い合うシステムは既にネットにありそうですよね。ただ解くだけでなくルールに基づいて競い合うのは、まるでスポーツのようです。題材が数学と言う珍しいものではあるものの、高校生が部活に熱中している青春ものとみればよくあるお話なのかもしれません。登場人物たちの決闘に対する姿勢の違いが表れていて興味深いです。 ただ、序盤は誰がどの台詞を喋っているのか分かりづらいし、難読名字が登場したりと読みづらさを感じました。読んでいるうちに慣れますが、戸惑いました。また、登場人物が多いので、誰が記憶すべき人物なのか混乱してしまいました。 過激さはなく雰囲気は穏やかですが、主題が主題だけに読む前から拒絶する人もいそうですし、読んでからも好みの分かれそうな青春小説です。数学はある程度知っていたほうが読みやすいです。数学が好きな人の気持ちが分からないと思っている人こそ、読んでみたら面白いのかもしれませんね。
2018年05月09日(水)
 
| 著者:佐倉準 発売日:
| 評価〔B〕 あくまでコミカルなのが良いです。キーワード:友達、高校生、学園、 「あなた、俺と向かい合った先に、一体何を得られると思ってるんだ!?」(本文より抜粋)
夏休み編が始まります。 湯神くんはやっぱり一人で楽しく過ごすのかと思いきや、意外と他人と接触しています。予定外の事態となっても、前向きに処理し状況を良くしようとするのは、彼の良いところです。他人の気持ちを考えずに行動してしまうのは、いつもどおりで面白いです。藤沢さんが謝りに来た時の、人間性うんぬんの件は笑った。 登場しないと思っていた彼のご家族が登場したのは、少々驚きました。どんな家族かは読んでのお楽しみということで。 他の生徒たちもそれぞれの夏休みを過ごすのですが、彼以上に心配なのは綿貫さんです。1巻からあまり充実した学生生活を送れていない気がします。報われて欲しい・・・・・・けど、そうなったら面白くなくなるような気もするので複雑な心境です。
2018年05月03日(木)
 
| 著者:るーすぼーい、古屋庵 発売日: 2017/2/22
| 評価〔A-〕 表紙の不穏な雰囲気が良い感じ。キーワード:能力者、学園、サスペンス、アクション 「ちょっと空気は読めません。よろしくお願いします」(本文より抜粋)
能力者と呼ばれる不思議な力を持つ若者たちが集う学校で、ある日二人の転入生がやってきます。二人はクラスメイトと共に人類の敵と戦うために訓練することとなります。超能力者が人類の敵と戦うと聞くと、少年漫画にありがちなバトルものを想像しがちですが、そう単純ではありません。 今回読むずっと前に1話だけ読んだことがあるのですが、その時の衝撃がなかなか忘れられず、こうしてしっかり読むことになりました。自分で意識している以上に好みだったのかもしれません。 凄く完成度が高い訳ではありません。緻密な設定とは言い難いですし、都合がいいなと感じることもありました。それでもこのジャンルの漫画は好きですし、テンポの良さもあってか楽しめました。 1巻なのに早くも人類の敵に苦戦しています。大丈夫でしょうか。このままの調子でどんどん面白い戦いを見せてほしいです。
2018年05月03日(木)
 
| 著者:百田 尚樹 発売日: 2015/8/12
| 評価〔B+〕 この本は炎上してないみたいです。キーワード:放言、批判、炎上、反論、 どこからも突っ込まれない意見や、誰からも文句の出ない考えというものは、実は何も言っていないのと同じだ。(まえがきより抜粋)
失礼ながら著者はなんだか喋るたびに炎上している印象があります。有名な小説の作家ということ以外よく知らず、具体的にはどのようなことを言っているのかほとんど知りませんでした。 実際に著者の意見や非難に対する反論を読んでみると、自分とは異なる意見のものもありますが、概ね理解できる意見です。炎上が頻発するほど過激にはあまり感じません。メディアが発言の一部のみ抜粋するので、真意やニュアンスが本来のものとは異なって伝わることが多いようです。 他人の目は正しい、超少数意見は厳しいようだけど無視していい、国会のヤジは問題ないのか?、あたりが読んだ後も印象に残りました。特に、最初の放言は、本心を出さずに生きてきた人は出さずにいる姿が本当の姿と続き、説得力のある内容です。 放言を問題発言だとむやみに騒ぎ立てずに、その真意を読み取ることが大切です。本人の反論もきちんと聞くべきですね。言葉狩りが横行することのないような社会を望みます。
2018年05月03日(木)
哲学の練習問題 (河出文庫) 〔A〕湯神くんには友達がいない 2 〔B〕うわばみ彼女 1 〔B+〕働く女子の運命は 〔B-〕いたいのいたいの、とんでゆけ 〔B〕以上、5冊でした。漫画を入れてこの数は少ないです。まだ時間があるから、いつでもできる読書は後回しに、と思っているうちに4月が終わってしまいました。前回のまとめでは3月と同じくらい(7冊)は読みたいと書きましたが、まさか減るとは自分でもびっくりです。 「哲学の練習問題」はずっと前から読みたかった本でした。存在を知ったのは年単位で前なので、忘れないうちに読めて良かったです。 5月の連休は時間があるので、用事ができる前に読んでおこうと思います。
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