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2018年04月29日(日)

いたいのいたいの、とんでゆけ 



著者:三秋縋
発売日: 2014/11/21

評価〔B〕 人を選びそうな物語です。
キーワード:青春もの、現代、SF

「信じられないのも無理ありません。当人ですら、なぜ自分にそんなことができるのか、未だにわからないんですから」(本文より抜粋)


なかなか一言で表現できない読後感です。無気力な生き方をしている大学生の瑞穂はとある女子高生と出会い、彼女の復讐の手助けをすることになります。そこに少しだけSF的な要素が加えられていて、個性的な復讐劇となっています。

復讐するからスカッとするかというと、そうでもありません。むしろ物語は暗く重く、暴力的な場面も多々ありますので、悲惨な描写を受け付けない人にはお勧めできません。しかし、傷ましい話のわりには、どこか温かみのある独特の雰囲気があります。人生がうまく行かなくても、もう少しだけがんばってみようという気にさせてくれます。読んでいてどこか乙一の作品に似ていると感じました。

あの結末をどうとらえるかによって評価が分かるでしょう。すっきりせず残念だととらえるのか、幸福を見出すことができて良かったと思うのか。私はどちらとも言い切れませんが、現時点では後者のほうがやや強いかな。あとがきに書いてある「元気の出る話」の意味が分かるよう気がします。



ネタばれ話はつづきにて↓
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[ 2018/04/29 18:45 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2018年04月29日(日)

働く女子の運命は 



著者:濱口 桂一郎
発売日: 2015/12/18

評価〔B-〕 経緯が詳しく書かれています。
キーワード:男女雇用機会均等法、ジョブ型、メンバーシップ型、

人の処遇がジョブではなくコースで分かれる日本社会では、欧米のような「ジョブの平等」は意味がありません。そこで、日本の男女平等政策は、もっぱら女性も男性と同じコースに乗せてくださいね、という方向に向かいました。(序章より抜粋)


1900年代に男女雇用機会均等法ができて以来、少しずつ労働環境の法整備が進んでいますが、未だに女性が働きやすいとは言えないのが日本の現状です。どうして賃金に差がついているのか、なぜすぐに同一労働同一賃金に切り替えられないのか。戦前から日本の労働を振り返り、女性の労働はどのような歴史をたどってきたかを明らかにしています。

日本では仕事に対して対価が支払われるのではなく、組織に所属していることに対して報酬が支払われるメンバーシップ型社会であるのが原因であるとしいます。この説明は説得力があります。昔よりはよくなったもののライフワークバランスなど関係ないかのような残業の多さ、家庭の事情を考慮しない転勤制度は、組織への忠誠心を試されてると考えれば理解しやすくなります。女性の場合、それに加えて家庭での役割も問題となってきます。男性の家での時間が少ないせいか、まだまだ家庭は女性が守るものという意識が残っていて、彼女たちが仕事と家庭の板挟みになるのは無理もないです。

世界が男女均等へと進んでいく時、日本経済が順調でそうした問題を軽視したのも忘れてはいけません。当時の新卒の女性たちはこうした習慣を当然と思っていたのか、それとも社会で大きな活躍を望んでいたのか。生の意見もあったらもっと良かったです。

女性の労働史としては過不足なく書かれていると思いますが、現状や今後の対策の部分が少ないのが残念でした。解決策のほうに興味があって本書を手に取ったので、他国の成功例などを踏まえて未来の話をもっと書いてほしかったです。女性の労働問題の原因や経緯に興味のある方にはおすすめしますが、私のように対策を知りたい方にはおすすめできません。




[ 2018/04/29 18:40 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2018年04月20日(金)

うわばみ彼女 1 



著者:後藤羽矢子
発売日: 2015/8/28

評価〔B+〕 親戚に似たタイプの人います。
キーワード:アルコール、恋愛、同棲、

「もっといろんなお酒を呑んでみないとね!」(本文より抜粋)


お酒が好きな人は何かにつけてお酒を飲む機会を探している印象があります。本書に登場する同棲中のカップルの彼女はまさにこのタイプで、お酒が好きでお酒に強いです。逆に、お酒に弱い彼氏はその発想や行動に振り回されてばかりです。過激な表現はなく穏やかな日常系4コマ漫画です。

個人的に酔っ払いには良い記憶はありませんが、これはアルコールハラスメントもなく、楽しく美味しく飲んでいるので嫌な感じはしません。どの種類の酒も好きみたいで、アルコールが心から好きなのが伝わってきます。著者があとがきで述べていますが、お酒に目がない点以外はしっかりした女性だと思います。時々、おじさんっぽいのが玉にキズです。

絵で特徴的なのが、彼女の瞳の描き方です。反射する光が2つあります。見分けやすい。読んでいくうちに、アルコールに憑りつかれている眼のように見えてきました。違う作品で同じ表現方法を見たら、本書の彼女を連想してしまいそう。




[ 2018/04/20 22:50 ] 4コマ漫画 | TB(0) | CM(0)

2018年04月07日(土)

湯神くんには友達がいない 2 



著者:佐倉準
発売日: 2013/4/18

評価〔B〕 意外と鉄壁の精神ではないのが良い。
キーワード:友達、高校生、学園、

「もらった事も出した事もない奴の言葉なんて重みがないな」(本文より抜粋)


友情のみを語るのかと思っていたら、恋愛関係も絡めてきて驚きましたけど、そこはやはり湯神くんです。一筋縄ではいきません。また、彼が所属している野球部の地区予選が始まります。2巻は恋愛編と野球編です。

予想通りと言いますかやっぱりと言いますか、相変わらず彼は自分の信念どおりに行動します。まったく恋愛に興味がないのかと思いきや、悩む場面もあって単に我が侭な人でないことを再認識させてくれます。かといって思いやりの人でもないですけど。

彼の意見は協調性がないけれど一理あるのが分かるので、周囲の人たちも協力したいようなしたくないような態度になってしまいます。傍目には面白いけれど、実際にいたらなかなか扱いに困る人です。

スポーツ編なのに清々しさを感じなかったのが素晴らしいです。この調子で突き進んで欲しいです。



[ 2018/04/07 21:47 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2018年04月07日(土)

哲学の練習問題 (河出文庫) 



著者:西 研
発売日: 2012/11/3

評価〔A〕 考えることは簡単なようで難しいです。
キーワード:哲学、本質、人生、社会、

人は意外なほど、ほんとうは自分は「何が」気になっているのか、をわかっていないもの。そこを見つめようとする勇気と、つきつめて根っこからわかろうとする意志から「考えること」ははじまる。(プロローグより抜粋)


教科書のような題名ですが、あまり専門用語を使わず素人でも読めます。しかし、分かると思って読んでいると、いつの間にか難しい問題へと突入しているので油断なりません。抽象的な概念が数多く登場します。

四章でも言及されていますが、唯一の真理や美はなく、本書を読めばてっとり早く全て分かるという訳でもありません。むしろ上記の引用のとおり、深く突き詰めて考えることの大切さを痛感するばかりです。生き方や人との関係の本質についてそれぞれ考えるきっかけを与えてくれる内容で、練習問題という題名がぴったりです。

ネットで時々見かける宇宙の果てはどうなっているの問題が取り上げられていて、それに対する解答(もしくは証明)が非常に面白かったです。宇宙を考えているのに、いつのまにか人間について考えているのが奇妙な感じです。また、異文化交流は違うから面白いのではなく、違いの中に共通性を見出すことが理解に繋がると書かれていて印象深かったです。まるっきり違う文化には本当に違和感しか覚えないのでしょうか。興味深いです。

各章の終わりには参考文献(推薦図書?)が挙げられていますので、気になった主題はさらに追いかけてみるのも楽しいかもしれません。こうした記述は読者の視野を広げる一助となるので、どんどん書いて欲しいです。




[ 2018/04/07 21:43 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2018年04月07日(土)

2018年3月の読書メモ 

湯神くんには友達がいない 1〔B+〕
日本酒BAR「四季」春夏冬中 さくら咲く季節の味〔B+〕
おとなのほうかご 3〔B+〕
一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常〔C+〕
土佐日記(全)〔C〕

桐谷さん ちょっそれ食うんすか!? 4〔B〕
ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち〔A-〕

以上、7冊でした。先月に引き続き少なめでした。やや新書が少なくなってきているかな。

最後の「ネットリンチ」は厚い本なので、時間がある時に読もうと読み始めたら、他のことに時間を取られ下旬はこれを読むので手いっぱいでした。もう1、2冊何か読もうと思っていたのですが、うまくいかないものですね。

4月は3月よりは時間が取れそう・・・・・・といいつつもう1週目が終わるのにようやく2冊。せめて3月と同じくらいは読みたいです。



[ 2018/04/07 21:41 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)