2017年04月28日(金)

体育館の殺人 (創元推理文庫) 



著者:青崎 有吾
発売日: 2015/3/12

評価〔B+〕 雰囲気は軽く、推理は真面目に。
キーワード:推理、学園、文庫化

「あの人は探偵っていうより、引きこもりでアニメオタクの駄目人間かな」(本文より抜粋)


高校で殺人事件が起き、一風変わったオタクの生徒が事件に挑む・・・・・・と書くと、ライトノベルではありがちな推理ものと感じる方が多いと思います。しかし、それらとは違って、オタク趣味はあくまで物語のアクセントであり、見どころは理詰めの推理です。第22回鮎川哲也賞受賞作。文庫化。

最初は探偵役が天才的なひらめきで即解決と思っていたのですが、意外とじっくり推理をしていて少々驚きました。ひらめきではなく、様々な可能性を一つひとつ潰していく着実な論理で真相にせまっていきます。反論を断つ方法というか、逃げ道をなくすやり方で、ラノベのような軽い雰囲気も持ちながら、こうした推理を見せるのは味があると思います。

解決編の前に「読者への挑戦」があったので、それにつられて少しだけ推理してみましたが、見事に外れました。真相の半分くらいしかわかっていませんでした。きちんと時間をかけて推理すれば良かったかも。

劇中、オタク趣味に関する発言がちらほら出てきますが、分からなくても楽しめます。分かれば、より楽しめます。推理劇は古風、人物像は今風な作品でした。




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[ 2017/04/28 11:15 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2017年04月25日(火)

盤上の詰みと罰 2 (完) 



著者:松本渚
発売日: 2015/11/12

評価〔B〕 記憶障害の真相とは。
キーワード:将棋、記憶、

「また私と対局してくれますか?」(本文より抜粋)


記憶障害の原因となった対局相手を探すため、都は旅を続けます。

劇中で某が、将棋の一手には感情や人生観が込められていると言っています。実際将棋を指していると、確かに相手の意図や気性が出ているなと感じることがあります。それが本書のテーマなのだと強く感じました。

都が追い求めていた相手はいったいどのような人物だったのか。ぼんやり予想していた人物像とは大きくかけ離れていましたけど、この漫画らしい、彼女らしい結末だったと思います。

もうちょっと将棋旅を続けて欲しかったかなとも思いますが、だらだら引き伸ばさずスパッと終わるのも潔くて良かったです。



[ 2017/04/25 21:58 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2017年04月25日(火)

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫) 



著者:山田ズーニー
発売日:2006/12/6

評価〔A〕 よく考えて喋るのが重要。
キーワード:会話、コミュニケーション、実用、

問いを発見しよう。あなたが抱く問いには、かけがえのない価値がある。

(第2章4より抜粋)


人と話していると、どうにも用件や感情が伝わっていないと感じることがあります。逆に、相手の言わんとしていることが、よく把握できない時もあります。なぜ意思疎通がうまくいかないのでしょうか? 何が問題点で、どうすればより理解が深まるのか。編集者として長年小論文を担当してきた著者が、うそをつかずに通じ合える技術を丁寧に教えてくれます。

コミュニケーション技術を扱った本は多いと思いますが、本書ほど事細かく丁寧に書かれたものはあまりないと思います。会話の目的から論理的に話す方法、共感と信頼を得る心得と、本質を分かりやすく説明しています。この台詞さえ覚えておけば大丈夫、なんてお手軽な会話術ではなく、その場限りでない良い関係を構築するための考え方が、具体例とともに示されていて良いです。送別会でのコメントの例は、誰しも一度は似たような言葉を聞いたことがあると思うので理解しやすいですし、その直前の問いの見つけ方は会話以外にも役立つことでしょう。

正論はなぜ人を動かさないのか?は興味深かったです。理由を見て、なるほどと感心しました。また、著者が短い時間で全幅の信頼を置いた人物の話も、説得力がありました。こうした、おそらく皆が曖昧な感覚として知っていることを、きちんと言葉にして説明できているのが本書の素晴らしいところです。

得た知識をすぐ使いこなすことはできません。しかし、少しずつ意識しながら話をすることで考える技術を磨き、信頼を得ることによって多くの人と通じ合えることができるようになるのでしょう。前に読んだ「伝わる・揺さぶる!文章を書く」同様、良書でした。




[ 2017/04/25 21:55 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2017年04月12日(水)

盤上の詰みと罰 1 



著者:松本渚
発売日: 2014/11/10

評価〔B+〕 主人公は起きている間、将棋しかしてなさそう。
キーワード:将棋、記憶、

「私はもう一度、あの人と対局したいんです」(本文より抜粋)


霧島都は元プロ棋士で、全国将棋一人旅をしています。理由は、記憶障害の原因となった対局の相手を探し出すため。彼女は相手を見つけ出すことができるのか、なぜ記憶を失ってしまったのかを求める将棋の旅です。

将棋の魅力にとりつかれ、何よりも将棋が好きな彼女の生き様が実に楽しそうです。いや、記憶が1ヵ月ごとにリセットされてしまうのですから、本人にしてみたら苦しいのかもしれませんが、将棋を指している姿は生き生きとしていて目を引きます。旅先で出会う人々も将棋にいろいろな想いを持っていて、都との違いが面白いです。勝負どころは迫力があり、きっと将棋のルールを知らない人でも楽しめるかと思います。

クライマックスの対局ですが、最後にプロ棋士の解説つきで棋譜が載っています。見ただけではよく分からなかったので、実際駒を並べて見たのですが、どちらも攻め将棋で迫力がありました。96手目と97手目なんて私には高度過ぎて指せません。こういう手はプロが監修しているだけあってさすがです。

次で完結ですが、一体どのような相手とどのような将棋で終わるのか。期待しています。



[ 2017/04/12 21:09 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2017年04月12日(水)

ふわふわの泉 



著者:野尻 抱介
発売日: 2012/7/24

評価〔A-〕 泉のネーミングセンスも結構好き。
キーワード:SF、化学、宇宙、

「努力しないで生きたいと思わないか」(本文より抜粋)


SFでは遠い未来の魔法のような技術が度々登場しますが、その技術がいかにして作られ、そして発展していったのかを追ったのが本書です。物語は、努力しないで生きることが目標の化学部部長・朝倉泉が、唯一の部員・保科昶(あきら)と共に文化祭の展示物を制作しているところから始まります。第33回星雲賞日本長編部門受賞作。

身近で少し変わった出来事が起こる学園系SFかーと読んでいたら違っていて、どんどん突っ走っていきます。テンポよく進むので爽快で面白いです。良い意味で期待が裏切られた形でした。練られた伏線ではなく、現実の想像できるところからワクワクするようなところまで発展するのが、容易に想像できるのが本書の魅力ですね。SFの部分も少な過ぎず、かと言ってSFを読んだことない人が嫌になるほど多くもなく、ちょうど良かったと思います。

多少、強引な展開や唐突な急展開もありましたが、面白さが損なわれるほどではなかったです。推理小説のような緻密なシナリオを望む人には、合わないかもしれません。

あとがきによると、設定は専門家にお世話になったらしいので、おそらく科学的考察もしっかりしているのでしょう。あの物質も・・・・・・まあこれは読んでのお楽しみですね、表紙から受ける印象とは異なり、しっかりとした説得力あるハードSFでした。でも、泉の性格のおかげか、または著者の文章力のなせる業なのか、堅苦しくなく読みやすかったです。




[ 2017/04/12 21:08 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2017年04月08日(土)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る 



著者:大栗 博司
発売日: 2012/5/29

評価〔A〕 物理学の最先端を垣間見た。
キーワード:重力、超弦理論、相対性理論、物理学、

アインシュタインの「最高のひらめき」とは、このニュートン以来の論理を逆転させることでした。(第三章より抜粋)


重力よりも副題の超弦理論の文字にひかれて手に取りました。高次元を解明する最先端の理論としか知らなかったので。

まずは前提となる相対性理論や量子論から始まり、超弦理論やブラックホールと進んでいくのですが、今は科学から遠ざかっている高校生の同窓生に語るつもりで書いたとあるように、かなり分かりやすく書かれています。難解な理論をほとんど数式を使うことなく、図と簡単な具体例で上手く説明しているのは鮮やかです。これなら知識なしでも読める、とは思いますが、やはり多少は知っていたほうが理解が早いですし面白いと思います。

超弦理論の超弦の意味は、高次元を表すことができる凄い紐くらいに捉えていたのですが、超対称性を前提とした弦のことだったとは初めて知りました。また、潮汐力の説明は本当に分かりやすくためになりました。今までの理解が浅かったようです。物理学を10億のステップで考えることと理論の関連性は、なるほどと関心しました。確かに新理論の存在が予見できます。

途中まではだいたい知っている内容も多く少し退屈でしたが、中盤以降はかなりワクワクしながら読みました。こんなに進んでいるんだと思う反面、まだまだ謎が多いとも感じました。事象の地平線の先から特異点まで、物質には何が起こり、最後に何が残るのでしょうか?

何度読んでもピンとこないところもあります。最先端のあの理論も、分かったような分からないような感じです。しかし、多少分からなくても、次から次へと有名人やノーベル賞受賞者が登場し、発展していった物理学の歩みは面白かったですし、興味のある人には是非読んでもらいたいです。




[ 2017/04/08 22:01 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2017年04月08日(土)

その「つぶやき」は犯罪です 知らないとマズいネットの法律知識 



著者:神田 芳明 (著), 前田 恵美 (著), 深澤 諭史 (著), 香西 駿一郎 (著), 鳥飼 重和 (監修)
発売日: 2014/5/16

評価〔A〕 危険性は認識しておかないと。
キーワード:法律、インターネット、SNS、

まず前提として、名誉棄損罪は、その内容が真実であるかどうかは関係なく成立します。(第1章2より抜粋)


インターネットが発達したおかげで、誰でも気軽に思ったことを発言することができます。しかし、あまりに簡単なので、知らないうちに違法行為となっていたり、逆に不当な被害を受けることもあります。どこまでOKでどこからがダメなのか、情報発信の責任を勉強する本です。

まず、知らないうちに加害者となる場合を紹介していますが、様々な法律と共に説明されていて分かりやすいです。名誉棄損罪は事実でなくても、評価でも公然と相手を貶めると侮辱罪になることがあることに驚きました。具体例の一つとして、レストランの評価はどうなるのか?が書かれていますが、どうやら程度によるようです。その程度も、人によって異なるので難しいですね。

悪いことだとは知らなかったという弁明は言い訳にならない「法の不知は害する」について説明していますが、他人のためにも自分のためにも知識を身につけることは必要でしょう。できれば小さいうちに知っておけば、問題も起きにくいはずです。

一方、図らずも被害者となってしまった場合も紹介していますが、加害者のケースと比べて分量が少なかったのが残念です。欲を言えば、もっと個々の事例について判例を挙げたり、もっと色々なネット問題を紹介して欲しかったです。

法律の面から見たら本書の内容は正しいのでしょうが、このとおりに様々なことに注意すると、基本的に良いことしか書けなくなってしまいそうです。褒めてばかりの情報では有用かどうか判断しずらいし、会話としても味気のないものになりそうだし・・・・・・難しいものです。



[ 2017/04/08 21:57 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2017年04月08日(土)

2017年3月の読書メモ 

さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち〔C+〕
ダーウィンズゲーム 10〔B+〕
「自分はこんなもんじゃない」の心理〔C+〕
新装版 マジックミラー〔B+〕
Q.E.D.証明終了 43〔B+〕

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)〔B〕
死人の声をきくがよい 9〔B+〕
視力を失わない生き方〔A-〕


以上、8冊でした。新書、漫画、小説とあまり偏ることなく読書できたほうだと思います。先月言ったように漫画が少なめですが、借りて読んでいたのでブログに感想を書かなかっただけで、数は結構読みました。

もう少し読む冊数を増やしたいですね。




[ 2017/04/08 21:46 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)