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2015年07月13日(月)

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫) 



著者:石持 浅海
発売日: 2008/2/8

評価〔A-〕 発覚する前の応酬が盛り上がります。
キーワード:ミステリ、倒叙、

新山はまだ眠っていると思われている。誰も怪しんではいない。第一ピリオドは、波乱なく過ぎた。伏見の思惑どおりに事態は進行している。(本文より抜粋)


倒叙ものと呼ばれる分野をご存知でしょうか。ミステリ・推理ものなのですが、通常のものは違って犯人が分かっていて、犯人の視点で物語が進んでいくことが多い形式のことです。本書もその倒叙ものです。同窓会で七人の男女がペンションに集まり、そこで殺人が起きます。2006年度「このミステリーがすごい!」第二位。

誰が犯人か?どのように犯行を行ったか?という楽しみ方はできませんが、犯行がばれてしまわないかという緊迫感が楽しめます。そして、状況を怪しまれないようにするための心理戦が盛り上がります。探偵役の某人物は論理的で強敵です。自分が犯行を知らないと仮定して、皆を自分の有利な状況に矛盾なく説得していくのは難しいので、どう切り抜けていくのかドキドキしながら読みました。

動機が納得できない、いまいち説得力に欠けるとした書評を見ました。確かに腑に落ちないかもしれませんが、現実でも小説でも何がきっかけで感情を爆発させてしまうかは、他人には分かりづらいと思うので、あまり気にしていません。動機に現実味がないと駄目な方は、本書は向いていないかもしれません。また、トリックについても斬新ではないので、トリック重視の人もちょっと・・・・・・。本書は駆け引きが好きな人向きだと思います。

犯行が発覚してからうまく言い逃れる展開ではないので、結構新鮮でした。まさに題名どおり。探偵役として犯人を当てるのではなく、たまには犯人側から事件を見るのも面白いと思いますよ。



ネタばれ↓
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[ 2015/07/13 22:26 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2015年07月13日(月)

イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか 



著者:宮田 律
発売日: 2013/9/14

評価〔B〕 日本とアラブ、イスラムの関係を考える。
キーワード:イスラム、アラブ、イスラム教、外交、対日感情、

イスラムの人々が日本人を評価するのは、彼らが理想とするような心意気や感情を日本人が備えていると見ているからである。(第1章より抜粋)


ネットで中東のテレビ番組が日本のことを褒めている知り、視聴したことがあります。確か公園でゴミを落とした人が、自分のゴミを拾って持ち帰る場面を見て、素晴らしいと賞賛していましたと記憶しています。本書の題名を見て、ちょうどそのことを思い出しました。ちなみに、この番組のことは第1章に書かれていました。最近外国を紹介する番組が多いですが、日本人にとってイスラム、アラブ世界はまだまだ未知の部分が多いと思います。彼らの対日感情はどのようなものか、過去の日本との関係はどのようなものだったのか、を分かりやすく論じています。

序盤は日本を褒めてばかりでよくある日本礼賛の書かと思ったのですが、対日感情を歴史から考察し、具体的な宗教観や文化を紹介し、逆に日本の外交を論じたりと、予想より幅広く書かれていました。興味深かったのは、後半のイスラム教の細かい概念の説明です。イスラムの寛容性や「イスラムの家」「戦争の家」という価値観、ジハードの起源と意味などは具体的でかなり分かりやすいと感じました。

また、ページ数は少ないですが、中東各国の日本への要望・注文が書かれた章があったのが良かったと思います。経済的援助を望んでいるなど抽象的な単語ではなく、なるべく生の声を伝えようとしている姿勢が好感が持てます。そういえば、日本でも観光の分野では対応しはじめていて、イスラム教の戒律を守って作られるハラール料理を用意している場所が増えてきているそうです。ゆっくりでもいいから相互理解が進むと良いですね。



[ 2015/07/13 21:51 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)