2014年06月30日(月)

リチャード三世 (新潮文庫) 

リチャード三世 (新潮文庫)リチャード三世 (新潮文庫)
著者:ウィリアム シェイクスピア
出版社:新潮社
出版日:1974/01/30

評価〔B+〕 凶悪な主人公が歯止めなく悪事を働きます
キーワード:戯曲、シェイクスピア、イギリス文学、

「おお、残虐非道のリチャード! あわれなイングランド!預言してやるぞ、どんなみじめな時代も、いまだかつて見なかった恐ろしいことが、きっとお前のうえに起る。」(第三幕 第四場より抜粋)


王の一族であるグロスター公リチャード、のちのリチャード三世が権力を得るために、手段を選ばず邪魔者を排除していく物語です。イギリスの薔薇戦争を題材に書かれたシェイクスピアの初期の悲劇。

陰謀をめぐらし、身内を騙していくリチャードの姿はまさに極悪非道です。ある女性の夫と子供を殺しておいて、その女性を口説こうとするのには驚きました。自分の欲望のためなら無理かどうか悩まず、他人の気持ちも考えません。誰でも容赦なく退けていきます。彼がこれでもかとばかりに悪人の主人公として描かれていて、なんかすがすがしいくらいです。ただ、単に悪い奴としてではなく、頭が回り口も達者と無能ではないところが興味深いです。

登場人物が多く、かつ同じ名前の人物も何人かいるので、読むのに少々苦労しました。傍らにメモを書きながら読んだのは久しぶりです。それと、薔薇戦争について何も知らなかったので、巻末の解説は助かりました。もし、家系図を頭に入れてから読んでいたら、作品をもっと深く味わえたでしょう。こうした分かりやすい解説は、理解の助けになり本当にありがたいです。




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[ 2014/06/30 20:41 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2014年06月23日(月)

時間はどこで生まれるのか 

時間はどこで生まれるのか (集英社新書)時間はどこで生まれるのか (集英社新書)
著者:橋元 淳一郎
出版社:集英社
出版日:2006/12

評価〔B+〕 哲学とは違った方向から考える。
キーワード:時間、物理学、ミクロ、マクロ、物理量

さて、温度はミクロの世界では存在しないものであるが、時間はどうであろうか?(第一章より抜粋)


時間とは何かを解明するのは、意識や心を説明するのと同じくらい至難だと思います。分かっているようで、説明しようとすると難しい。従来の時間論は、哲学者は哲学のみ、科学者は物理現象のみ考察したものばかりでしたが、本書は現代物理学を踏まえたうえで人間が普段感じている時間の流れについて解き明かそうと試みます。

絶対時間・絶対空間の枠を超え、相対論と量子論を取り入れています。物理量から始まりエントロピーまで説明するので、内容の半分以上は物理学の解説で占められています。長いですが知らないことが多々あって勉強になりました。特に、ミクロとマクロに分けて考えている点が興味深いです。某アニメで出てくる世界線という言葉が物理学にあることや、某ゲームで時間軸が傾くとあったのですがそれが現実にも起こることに驚きました。時空間が実数と虚数で表現できること、相対論による空間軸の傾き、ミクロ世界での因果律の崩壊も面白いです。

ただ、主旨だけ簡単に書いてあるにも関わらず内容が難しく、きちんと理解できなかったところもあり残念です。そういったところは他の物理の入門書を当たるのがよさそうです。ある程度物理を習ったことがある方なら大丈夫かもしれませんが、光子も時空間もエントロピーも何も知らない方は、読む前に相対論や量子論の易しめの入門書読むと理解の助けになりそうです。時間は哲学の領域だから、物理なんて知らなくてもいいと思っていると完読するのは難しそうです。

物理の説明に比べると、肝心の結論が短くあっさりと書かれています。斬新な答えを期待していただけに、やや物足りなさを感じましたが、納得できる部分もありました。題名にあるように、「どこで」に焦点を当てて書かれた本でした。




[ 2014/06/23 21:26 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2014年06月17日(火)

極黒のブリュンヒルデ 7 

極黒のブリュンヒルデ 7 (ヤングジャンプコミックス)極黒のブリュンヒルデ 7 (ヤングジャンプコミックス)
著者:岡本 倫
出版社:集英社
出版日:2013/12/19

評価〔B+〕 残された時間は少ない。
キーワード:SF、現代、魔法、宇宙人

「まぁキスぐらい当然するよね。」(本文より抜粋)


表紙を飾るのはついに登場したヴァルキュリア。能力も性格も危険な彼女はどう動くのか。

寧子たちは絶望的な状況に陥りますが、予想していたような派手な展開にはならず、また鎮死剤の問題が目の前に立ちはだかります。少し前にあったスカジの台詞は一体どういう意味なんだろう。そして、ここにきて新たな魔法使いが登場します。一波乱起きそう、いや、もう起きてます。彼女の能力もすぐ分かりますが、魔法と言うにはなんか違和感がある能力です。

切羽詰っていても、ギャグや恋愛をテンポよく挟んでいるので、読んでいて面白いです。悪く言えば落ち着かない、良く言えば……なんというのでしょうか。(笑) 飽きさせないとでも言うのかな。

アニメ放映に追いつかれないように読んでいたのですが、どうやら今週あたり追い抜かれそうです。スカジ編をばっさり省いてくるとは思いませんでした。先に漫画を読んでおきたかったのですが、まあ抜かれたら抜かれたでアニメを楽しみます。




[ 2014/06/17 21:04 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2014年06月17日(火)

ヘレンesp 2 

ヘレンesp 2 (少年チャンピオン・コミックス)ヘレンesp 2 (少年チャンピオン・コミックス)
著者:木々津 克久
出版社:秋田書店
出版日:2010/08/06

評価〔B〕 ほんわかしていて、時々ブラックかな。
キーワード:超能力、身体障碍者、現代

覚えてない……? アナタの生まれた所よ、ヴィクター。(本文より抜粋)


見えず聞こえず話せずだけど、不思議な力を持っている少女のお話。

1巻とあまり変わらない感じですが、ヴィクターとの出会いや両親の事故直後に会った看護師さんのエピソードがこの漫画らしさが良く出ています。ちょっとしんみりした良い話、みたいな。また、ある出来事をきっかけに人生が変わる話なんかは著者の他作品と似ていて、雰囲気は違うけれど同じ作者なんだなとなんか納得してしまいました。

明確な目的もなく、何がどうなって終わるってこともないので、2巻で終わっても悪くはないのですが、もっとこうヘレンが成長した姿も見てみたかったです。とはいえ、ダラダラ続くのも良くないし、こういう種類の漫画は終わらせるのは難しいそう。

自分の苦境を苦にせず、ヘレンのニコニコした笑顔が印象に残るシリーズでした。



[ 2014/06/17 20:39 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2014年06月13日(金)

密室殺人ゲーム2.0 ((講談社文庫) 

密室殺人ゲーム2.0 (講談社文庫)密室殺人ゲーム2.0 (講談社文庫)
著者:歌野 晶午
出版社:講談社
出版日:2012/07/13

評価〔S-〕 リアル殺人ゲームが再開します。
キーワード:推理、ミステリ、アリバイ、密室

(本文より抜粋)


現実に事件を起こしネットで推理しあう「密室殺人ゲーム王手飛車取り」の続編です。2010年本格ミステリ大賞受賞作および2010本格ミステリ第1位。

推理ゲームが行われているので、前作を読んだ方は戸惑うことかと思いますが、読んでいくうちに疑問は解消されます。2回目なので新鮮さでは負けますが、一つひとつの事件そのものについては勝るとも劣らぬ、いえ平均的には今回のほうが良かったと思います。最後の「密室よ、さらば」は、彼のハンドルネームに恥じない出来だったのではないでしょうか。

巻末の解説にもありますが、同じようで少しだけずらした感じが面白さのポイントなのでしょう。同じ枠組みで違う物語。結末にしても、前作はあの人のゲームの果てに焦点を当てていましたが、今回は異なる形でゲームの行きつく先を描いているのが興味深いです。今回のほうが終わりがハッキリしているので、前作のようなもやもやした感じにはならずスッキリして良かったかと。

推理小説を評価する上で、トリックが重要なのはもちろんですが、個人的には登場人物たちが気に入るかどうかも大きな要素です。前作はB+をつけましたが、そのあとちょくちょく再読していたということは、自分が思っていた以上に気に入っていたんだと思います。彼らは倫理的にも法的にもダメですが、たとえ文句を言い合っていても、皆ゲームをぞんぶんに楽しんでいるのが伝わってきます。そこが魅力なのだと思います。

この作品から読んでも分かりますが、前作から読むことをお勧めします。そのほうがより楽しめますので。この密室殺人シリーズは3部作になるそうで、本書が2番目で、番外編の「密室殺人ゲーム・マニアックス」まで出ています。最終巻ではどのような物語が見られるのか。本書の最後のあの書きこみを見て、いろいろ想像しながら待つとします。いや、その前に2.5であるマニアックスを読むとしますか。




[ 2014/06/13 22:26 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2014年06月13日(金)

ロボットは涙を流すか 

ロボットは涙を流すか (PHPサイエンス・ワールド新書)ロボットは涙を流すか (PHPサイエンス・ワールド新書)
著者:石黒 浩、池谷 瑠絵 他
出版社:PHP研究所
出版日:2010/01/21

評価〔A〕 SF映画からロボットの未来を考えます。
キーワード:ロボット、SF、映画、アンドロイド、現代

ではその時、「人間」と認めるための要件とは何なのだろうか? 『スター・トレック』ではすでに、それが知性なのか、感情なのかといった一歩踏み込んだ議論が展開されている。(本文より抜粋)


人間そっくりのロボットを作り日々研究している科学者である著者が、SF映画を題材にして、最新のロボット技術および「人間とは何か」を探ります。著者の「ロボットとは何か」と同じような内容ですが、テーマを映画にし、文章は記者が担当したことで読みやすいです。

著者が精巧なロボットを作り人々の反応を見るのは、「人間とは何なのか」という哲学的な難問の答えを得るためだと一貫しているのが分かりやすくて良いです。ターミネーターを見てはロボットの構造・機能に注目し、サロゲートを見ては自分の研究の行く末をあれこれ想像し、映画を物語としてではなく現実または近未来として見て感想を書いています。面白いのですが、読みやすさ重視のためか、内容は「ロボットとは何か」より平易な印象を受けました。高度な内容は二の次のような。

5章では人間と同等と認められるための要素として、こころや感情を挙げていますが、この難問に対し自然科学ではなく社会学の面から考察しています。精神の存在を証明するのではなく、相手が認めるかどうか――チューリングテストの概念と似ていると感じました。工学やプログラムを研究している人が、ロボット作りにおいてコミュニケーション能力を重視しているのが興味深かったです。学問が繋がっているのが分かり面白いですね。

ときおり書かれている著者の独特な性格も楽しいです。怒るという感情がよく分かっていなかった、ロボットをおもちゃのハンマーで叩き続けたら学生に怒られた、など言動が新鮮です。さすが研究者といったところでしょうか。

本書では10作品のSF映画が例として挙げられていますが、見ていなくても楽しめます。僕がみたことあるのもターミネーターとスター・ウォーズくらいです。読んでいて映画が見たくなってしまいました。サロゲートは面白そう。映画の核心に触れる箇所も書かれているので、読みたい方はネタバレにだけ注意してください。



[ 2014/06/13 22:06 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2014年06月07日(土)

地球移動作戦 (下) 

地球移動作戦 (下) (ハヤカワ文庫JA)地球移動作戦 (下) (ハヤカワ文庫JA)
著者:山本 弘
出版社:早川書房
出版日:2011/05/05

評価〔B〕 細やかな現象の解説も良いです。
キーワード:SF、宇宙、未来

地球に暮らす人々に何よりも深く訴えかけたのは、レポーターや科学者の言葉などではなく、シーヴェルの輝きそのものだった。この頃になると、塵雲は金星よりも明るくなり、日没後の西の空に高く輝くようになっていたのだ。(本文より抜粋)


巨大天体2075Aの接近による、未曽有の危機を描いた物語の下巻です。

上記の引用のような地球規模で起きる現象に、SFならではの緊張感や壮大さを感じ、なんだか高揚しました。本作の見せ場の作戦も、日常では味わえないものがあって良かったと思います。ただ、話としては予想を大きく外れることもなく、奇を衒ったストーリーにもならず、物語自体は期待していたほどではありませんでした。

序盤最後のユーナとジェノアPの会話みたいなものがもっと見たかったです。意思を持つ機械・ACOMの存在が、著者の他作品同様、人間とはまったく異なる感性や欲望を持っているは良かったと思います。あまり人間らしくてもダメで、あまりかけ離れていてもやっぱりダメで……なかなか難しいものですね。

全体的に著者らしい前向きな作品でした。



[ 2014/06/07 22:49 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2014年06月07日(土)

地球移動作戦 (上) 

地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA)地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA)
著者:山本 弘
出版社:早川書房
出版日:2011/05/05

評価〔B〕 異星人は出ないけどスケールは大きいです。
キーワード:SF、宇宙、未来

「地球からたった四〇万キロのところを通過する……?」(本文より抜粋)


かつて巨大隕石が地球に落下してくるハリウッド映画がありましたが、本書はあれを時間をかけてより現実味がある物語にしたものだと思います。目次の前に『妖星ゴラス』のスタッフの方々に捧げるとありますので、言わば山本弘版『ゴラス』です。

SFでおなじみ(?)のタキオンや反物質、未解明という設定のミラーマターを使って、宇宙での現象も科学的に考察されていて難しい印象を受けますが、そういうものだと割り切って読み進めると未来の世界を感じることができて面白いです。

危機を回避するための技術的な問題よりも、意見や利害の調整など政治的な問題に焦点が当てられていて、なんだか現代の温暖化問題や砂漠化問題を連想してしまいます。でも、こうしたことよりも、SFなのですから第一部のように宇宙での非日常をもっと見せてほしかったです。そちらのほうを期待していたので。第一部はそれだけでも短編として成り立つくらい、よくまとまっています。

軍事的な話にはならず、ネット動画を上手く取り上げたあたりに、オタク分野に明るい著者らしさを感じます。機械や兵器に偏ったSF映画を見慣れている人にとっては、目新しく日本的な近未来小説でしょう。


[ 2014/06/07 22:43 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2014年06月03日(火)

アラクニド 10 

アラクニド (10) (ガンガンコミックスJOKER)アラクニド (10) (ガンガンコミックスJOKER)
著者:村田 真哉、いふじ シンセン 他
出版社:スクウェア・エニックス
出版日:2014/03/22

評価〔B+〕 巨針蟻をも驚くことが。
キーワード:殺し屋、昆虫、現代

「『ゾウとネズミの感じる時間は違う』。『蜘蛛』さんに教わった基礎中の基礎。」(本文より抜粋)


ようやく最新刊に追いつきました。

能力を明かした巨針蟻との戦いがクライマックスをむかえます。圧倒的な敵の前にどうすることもできないかに見えたのですが、あることをきっかけにアリスが目覚めます。巨針蟻が強過ぎてワンパターンになり始めていただけに、この流れは盛り上がります。そして、すっかり解説役となってしまった最強さん。結構気に入っているのでもう少し活躍してほしいです。

軍隊蟻の言葉から蜘蛛狩りの終わりが近いのが分かります。何が真の目的だったのか?全てはボスの思惑通りだったのか? 最後のページを見るともう1回くらい戦闘がありそうですが、次の巻、遅くても次の次の巻あたりで決着がつきそうです。

最後のおまけ漫画ですが、原作者も「殺すしかない」の数が多いことを自覚しているみたいで、安心したというか笑いました。



[ 2014/06/03 21:30 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2014年06月03日(火)

2014年5月の読書メモ 

スワロウテイル序章/人工処女受胎〔A-〕
NIGHTMARE MAKER 6〔B〕
東京喰種トーキョーグール 1〔B〕
ひぐらしのなく頃に解 第二話 罪滅し編 上 (講談社BOX)〔B〕
ひぐらしのなく頃に解 第二話 罪滅し編 下 (講談社BOX)〔B〕

極黒のブリュンヒルデ 6〔B+〕
東京喰種トーキョーグール 2〔B〕
議論のウソ〔B+〕
日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか (徳間文庫)〔B+〕
生徒会役員共 10〔B〕


以上、10冊でした。先月に引き続き、主に創作物を読みました。そして久しぶりに新書も読みました。

最近4コマ漫画を読んでいないなと思っていたら、約半年ぶりでした。前回読んだものも生徒会役員共でしたので、違うのもそろそろ探してみるつもりです。好みのものが見つかるといいのですが。

しばらく小説、ラノベ、漫画が中心の読書が続きそうです。


[ 2014/06/03 20:34 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)