2013年06月28日(金)

地獄変・偸盗 (新潮文庫) 

地獄変・偸盗 (新潮文庫)地獄変・偸盗 (新潮文庫)
著者:芥川 龍之介
出版:新潮社
発行:1968/11/19

評価〔B〕 どこか怖い感じ
キーワード:文学、近代、短編集

ああ、これでございます。これを描く為めに、あの恐ろしい出来事が起ったのでございます。(地獄変より抜粋)


芥川が平安時代を題材に書いた“王朝もの”の短編集です。名前だけは聞いたことがある「藪の中」や表題作「地獄変」などが6編収録してあります。本書の作品は、解説によると全て「今昔物語」と「宇治拾遺物語」を元にアレンジしたものだそうです。入手したのが改版なので、文字が大きくて見やすいので助かります。

印象に残ったのは「地獄変」です。地獄変という言葉の意味が分からなかったのですが、どうやら地獄の様子を描いたもののようです。高名でありながら性格の悪い絵師・良秀が、権力者に地獄変を描けと言われたのをきっかけに起きた、ある出来事が綴られています。裏表紙には芸術と道徳の相克・矛盾とありますが、そう難しく考えなくても何か感じるものがあるほど凄まじいです。良秀を理解できるかできないか、はっきり分かれそう。

また、有名な「藪の中」は何ともいえない読後感でした。面白い手法だと思いますが、最終的にどう解釈してよいのやら……。でも、物事は一面から見ていては分からない、真実は人によって変わりえるものだという懐疑的な人生観は分からなくもないです。読み終わった後、いろいろ考えてみるのが興味深い短編です。

他の感想文でも書きましたが、本書も注釈が多いのが慣れません。どうにかならないものでしょうか。読むテンポが乱れるのが気になります。悲劇的なものや分かりにくい作品が多いと思いますが、それはそれで面白く、また普遍的なものも感じました。






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[ 2013/06/28 21:20 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年06月21日(金)

ひぐらしのなく頃に 第四話 暇潰し編 (講談社BOX) 

ひぐらしのなく頃に 第四話~暇潰し編~ (講談社BOX)ひぐらしのなく頃に 第四話~暇潰し編~ (講談社BOX)
著者:竜騎士07
出版:講談社
発行:2008/02/05

評価〔C+〕 出題編最後の巻です。
キーワード:サスペンス、田舎、昭和、

「鬼ヶ淵死守同盟ですか。えぇ、地元ではかなり賑わせているようです」(本文より抜粋)


シリーズ4冊目、出題編も最後となりました。暇潰し編です。今まで主役であった前原圭一や竜宮レナたちの物語の時期、昭和58年から時間をさかのぼって、昭和53年の雛見沢村が舞台となります。外から来た若い警察官・赤坂衛が主人公で、以前から少しだけ名称が出ていたダム建設の反対運動について語られています。

ある事件の調査で村を訪れる赤坂は、読者にはお馴染みの地元刑事・大石蔵人とともに調査を始めるので、状況や人物の関係が客観的に語られ、復習するような感じで読むことができます。もちろん、村人ではなく警察の視点からしか情報が得られないので、肝心の部分はなかなか知ることができません。5年後に圭一の耳にはいる『鬼ヶ淵死守同盟』の実情も書かれていて興味深いです。

赤坂が梨花と出会うシーンを読むと、一部の方々が彼をロリコ……少女愛好者と呼んでいるのも分からなくはないかな。梨花といえば、彼女の言動が解答編へ入る前の最後のヒントなので、自分で真相を推理したい方は熟読を。

ひぐらしシリーズ全体から見て、この暇潰し編はあまり重要でないと思います。読んでも読まなくてもいいとまでは言いませんけど、本編ではなく外伝みたいな印象を受けたので。次からようやく解答編です。アニメを見ているので大まかな流れは知っていますが、小説だとどのようになるのか。ゆっくり読んでいきます。










[ 2013/06/21 21:37 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2013年06月15日(土)

六花の勇者 

六花の勇者 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)六花の勇者 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:山形 石雄
出版:集英社
発行:2011/08/25

評価〔A-〕 ファンタジー×ミステリー
キーワード:ファンタジー、ミステリー、

「よく確かめるのだ! ありえん、六花の勇者が七人いるなど」(本文より抜粋)


ファンタジーでミステリーという異色のライトノベルです。著者は、戦う司書シリーズを書いた方です。アニメ版戦う司書を観て、この人の作品を読んでみたいなと思っていたんですよ。ようやく読むことができました。

魔神が復活するとき、六花の勇者が選ばれ世界の危機を救う――。今回も、その身に突如紋章が浮かび上がった勇者たちが、約束の地へ終結したのですが、集まったのはなんと七人。誰が偽者なのか?偽者の目的は何なのか? 疑心暗鬼に陥った勇者達は偽者探しを始める、というミステリーです。以前、感想を書いた遠野浩平の殺竜事件も推理ものでしたが、僕は騙し合いのゲーム・人狼に近い印象を受けました。

お互い不審な動きはしていないか、おかしな発言はしていないかと探り合うのは、緊迫感がありのめりこみました。登場人物たちも個性豊かで、主人公の自称地上最強の男・アドレットは、ファンタジーの勇者らしからぬ戦い方で新鮮でした。聖者の存在もファンタジーらしくて良いですね。

七人がそろうまでが少々長かったかなと感じました。粗筋を読んでいたので、早く集まらないかなと少しだけもどかしかったです。また、偽者の正体がばれた後が意外と短かったが残念でした。もう少しこう何か喋って欲しかったかな。

他の方の評価が高いのもうなずけます。ファンタジーらしい展開はありませんが、十分楽しめました。



[ 2013/06/15 21:11 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2013年06月08日(土)

パーフェクトフレンド 

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)
著者:野崎 まど
出版:アスキー・メディアワークス
発行:2011/08/25

評価〔B+〕 友達を観察、体験。
キーワード:友達、現代、小学生

「友達はなぜ必要なのか。友達とは何なのか。私も、貴方も、それを説明できる言葉をまだ持っていない」(本文より抜粋)


友達なしで生きてきた人に、友情の大切さを説くとしたら、いったいどうすれば良いのでしょうか。楽しい?助け合いの精神? 本書の登場人物も同じ問題に直面します。

小学四年生の理桜は、先生に不登校の少女・さなかに会うよう頼まれます。理桜に会ったさなかは、自分は学校に行く必要を感じないと言います。相手に負かされた気持ちになった理桜は、学校で友達を作る重要性をさなかに力説します。

一見、小学生たちの成長物語のようですが、途中ででてきたあの“特殊友達理論”が非常に興味深いです。思いもよらぬ方面から分析・考察していて新鮮でした。物語の結末よりも印象に残っているかも。いつもなら話が急転回するのがこの著者の特徴ですが、今回はいつもとは少し違っていて、わりとすんなり終わったように感じました。これはこれで良かったと思います。

ひとつ助言があります。本書を読む前に著者の既刊4冊を読んでおくと、読み終わったときの感想が違ってきます。読んでおいたほうが、ある程度真相が予測できて楽しめるでしょう。




[ 2013/06/08 21:02 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年06月04日(火)

日本人はなぜ無宗教なのか 

日本人はなぜ無宗教なのか (ちくま新書)日本人はなぜ無宗教なのか (ちくま新書)
著者:阿満 利麿
出版:筑摩書房
発行:1996/10

評価〔B+〕 日本人はむしろ宗教心豊か。
キーワード:宗教、日本人、仏教、神道、キリスト教、

我々が容易に「無宗教」を口にする原因の一つに、風俗や習慣となってしまった宗教は「宗教」ではないという思いこみがあるようだ。(本文より抜粋)


日本人の半数以上が「自分は無宗教」と公言しているそうです。日本人は本当に無宗教または無神論者なのでしょうか。また、外国人には奇妙に感じられるこの状況は、いったいいつどのようにして形成されたのか。宗教思想史の専門家である著者が、歴史を振り返り原因を究明します。

ぼんやりした宗教観を、歴史と民俗学と共に分析・考察していて興味深いです。分かりやすく説明していますが、様々な要因が絡んでいてややこしいです。でも、神仏の信仰が篤かった中世から、なぜこうも変わってしまったのかが理解できて面白いです。

日本人の民族性、和を大切にしたり日常・平凡を好むところが宗教観に影響しているのは、ある程度予想していましたが、歴史の流れ、政治の影響も強く受けていることに驚きました。明治維新と新政府の方針・政策が興味深く、キリスト教禁止が幕府から受け継いだ唯一の政策だったとは知りませんでした。信仰の内と外、習慣となってしまった宗教のあたりも面白いです。

柳田国男の研究を参照する回数が多いです。民俗学がこうした宗教・思想の分野の研究に役立つとは思いませんでした。自然科学に限らず、複数の分野を研究しないとある分野の研究が進展しないことがあるのですね。勉強になりました。

巻末の引用文献を見ても、多くの資料をあたり客観性と広い視野を心がけていることが分かります。初詣、お盆、クリスマスとごちゃまぜのイベントに疑問を抱いたら、本書を読んでみるのも良いと思います。




[ 2013/06/04 22:39 ] 心理・哲学 | TB(0) | CM(0)

2013年06月04日(火)

2013年5月の読書メモ 

クラスメート、上村ユウカはこう言った。2〔C〕
お化け屋敷になぜ人は並ぶのか 「恐怖」で集客するビジネスの企画発想〔B〕
医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン〔B〕
家電のお買いもの! (マンガ入門シリーズ)〔B+〕
万能鑑定士Qの事件簿 VII〔B+〕

Q.E.D.証明終了33〔B+〕
空想科学少女リカ (空想科学文庫)〔B〕
99%の誘拐 (講談社文庫)〔B+〕
明日のメディア 3年後のテレビ、SNS、広告、クラウドの地平線〔B+〕
羽月莉音の帝国〔B+〕

Q.E.D.証明終了34〔B〕


以上、11冊でした。ジャンルもある程度ばらけました。小説が多めかな。反面、ライトノベルが減っています。万能鑑定士やQEDと推理ものが多くなってきているような。

評価Bばかりでしたが、質を考えてBのものや好みだからBのものと同じ評価でも幅があります。もし参考にする場合は、そのあたりをご注意ください。




[ 2013/06/04 22:38 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)