2013年04月29日(月)

モーフィアスの教室 

モーフィアスの教室 (電撃文庫)モーフィアスの教室 (電撃文庫)
著者:三上 延
出版社:メディアワークス
出版日:2008/01/10

評価〔B〕 夢からくる何か
キーワード:夢、オカルト、学園、

「……その夢のどこかに扉はあった?」(本文より抜粋)


夢はなんとも不思議な世界です。現実の世界や記憶を基にしているけれど、ありえないことも平気で起こります。都内の高校生・岸杜直人は恐ろしい夢を見ます。ただの夢かと思っていたら、現実に影響を及ぼしていることに気がつきます。どんどん事態を悪化させる悪夢を、幼馴染の久世綾乃と一緒に阻止しようとします。この夢は何なのか、サスペンスホラー系ライトノベルです。

全体的に落ち着いた感じで、登場人物の個性を売りとするライトノベルとしてはかなり静かです。物足りなく感じる人もいそうです。でも、物語の不可解な出来事や恐怖感を出すには、このくらいのほうが良いと思います。強引過ぎる展開やドタバタしたギャグはなく、堅実な印象を受けました。

自殺した生徒のヨミジ、悪夢の正体、綾乃が隠していたことなど、結構意外性があって良かったです。しかし、すべて回収するかと思われた伏線がいくつか残っているので、その点が残念といえば残念です。でも、まあ詰め込み過ぎても読みづらいので、これくらいが良いのかも。

ホラー要素があるので、怖がりな人は駄目そうですね。口絵カラー数ページが本書の印象を上手く表しているので、そこを興味が出たら読んでみてはいかがでしょうか。




ちょっとネタばれ話は続きにて↓
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[ 2013/04/29 18:38 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2013年04月29日(月)

メタボラ(下) (朝日文庫) 

メタボラ(下) (朝日文庫)メタボラ(下) (朝日文庫)
著者:桐野 夏生
出版:朝日新聞出版
発行:2010/07/07

評価〔B+〕 よみがえるギンジの記憶
キーワード:記憶喪失、沖縄、若者、現代、

どういうわけか、<僕>の脳内ではさっきから、「ココニイテハイケナイ、ココニイテハイケナイ」という言葉が呪文のように繰り返されて、その激しい回転摩擦で脳味噌が沸騰しそうだった。(本文より抜粋)


居場所を確保できて落ち着き始めたように見えるギンジとジェイク。那覇で幸せをつかもうと、必死にもがきます。

ギンジはある人物と出会い、唐突に記憶を取り戻します。彼の語った半生は読んでいてかなり辛いのですが、グイグイ引き込まれました。家族、職場、将来……裏表紙にある『社会から零れ落ちていく若者のリアルと後戻りできない現代の貧困を暴き出す』の言葉どおりの現実がそこにはありました。著者の書く小説はもちろん創作なのですが、そう感じさせないリアリティがあります。おそらく現在も、ギンジのような人生を送っている人がいるかと思うと、相当重い気分になります。過去編はとても良かったです。その反面、安楽ハウスの続きは少々あっさりしたものに感じられました。もう少し関係者たちの内面が見たかったです。

巻末の解説では、社会と性差について言及しています。作中の性差はあまり意識していなかったのですが、思い返してみると、男性たちと女性たちは同じような境遇にあっても、違う考えや態度を示していて、なるほどなと感心しました。著者は人間の内面、特に負の面を描くのが上手いです。

終盤、ジェイクの現状を見てギンジがとった行動に驚きましたが、彼が何を大切にしているかと考慮すると分からなくもないです。でも、この結末は好みではないので、もう少しこう違った前向きな終わり方にして欲しかったです。



[ 2013/04/29 18:25 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年04月25日(木)

メタボラ(上) (朝日文庫) 

メタボラ(上) (朝日文庫)メタボラ(上) (朝日文庫)
著者:桐野 夏生
出版:朝日新聞出版
発行:2010/07/07

評価〔B〕 記憶喪失の青年が今を生き抜く。
キーワード:記憶喪失、沖縄、若者、現代、

どういうわけか、<僕>の脳内ではさっきから、「ココニイテハイケナイ、ココニイテハイケナイ」という言葉が呪文のように繰り返されて、その激しい回転摩擦で脳味噌が沸騰しそうだった。(本文より抜粋)


記憶喪失となってしまった<僕>が、なぜか夜の森を必死で逃げている場面から始まります。名前すら思い出せない状態で、同じように森の中を逃走中の昭光と出会い、行動をともにすることになります。彼らはギンジとジェイクと名乗ることとし、生きのびようとします。ギンジは記憶を取り戻せるのか、ジェイクは自分の人生を思うようにできるのか。現代の沖縄を舞台にした、若者ルポ風サスペンスです。

若者ルポと書いたように、現代の若者が数多く登場します。旅に出たいため働いている者、夢を探している者、夢を追いかけている者、日々を楽しく暮らしたい者。共通するのは、裏表紙に『社会から零れ落ちていく若者』とあるように、社会的成功とはあまり関係なさそうであることだと思います。彼もしくは彼女たちの現実が、良い点も悪い点もうまく描かれています。釜田のゲストハウスの様子は容易に想像できて、なんか笑ってしまいました。

物語は主人公2人の視点が入れ替わりで進みます。礼儀正しいギンジと享楽的なジェイクの違いが、物語の幅を広げていて面白いです。どちらか一方だったら決して踏み入れなさそうなところにも行くので、色々見ることができます。ジェイクの沖縄の方言は、訳がなくて正直よく分かりませんが、それはそれで現実感があって良いと思います。沖縄の人が沖縄と本土と分けて考えていることは知っていたけれど、沖縄本島と離島でまた違うのは意外でした。そういう内と外の意識が強い土地柄なのかな。

「グロテスク」ほどは衝撃や新鮮味はないけれど、沖縄と若者の今を見ているようで興味深いです。どのような結末をむかえるのか、引き続き下巻を読みます。




[ 2013/04/25 19:28 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年04月25日(木)

「世界征服」は可能か? 

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)
著者:岡田 斗司夫
出版:筑摩書房
発行:2007/06

評価〔A-〕 目的も征服後の運営も大切です
キーワード:世界征服、悪の組織、

征服後のビジョンが感じられない、と採点すると、たいていのマンガやアニメは不合格です。(本文より抜粋)


休日の朝、たぶん現在でも戦隊もののテレビ番組が放映されていて、怪獣や怪人たちと戦っています。彼らはことあるごとに世界征服と言っていますが、毎回1体ずつ怪人を送り込むのは、どう見ても戦略的に失敗しています。子供向けの番組にこういう指摘は興をそぐだけですが、本書はあえてこの世界征服を真面目に考えてみようという野心的な本です。もちろん悪の組織として、なのが面白いです。

世界征服の目的や理想の支配者像、資金調達、果ては悪の組織のルール作りまで懇切丁寧(?)に教えてくれます。歴史や過去の創作物を例に、良い点悪い点を分かりやすく解説していて、悪いことを考えている割にほのぼのした感じが可笑しいです。娯楽を現実的に真剣に考察するのは、少々疲れますが面白いですね。

終盤では冒頭の雰囲気とは違い、新書らしくそしてオタクらしく幅広い知識で現代社会の構造について述べています。著者のもっとも言いたかった現代の悪よりも、イギリスを例に挙げて説明した階級社会・階層社会のほうが興味深くためになりました。

「完全教祖マニュアル」と同じような雰囲気ですが、本書のほうが柔らかく思考実験としては面白そうです。専門的な知識も必要なく、オタクのほうがより楽しめて読みやすい、そんな本です。



[ 2013/04/25 19:23 ] 社会・歴史 | TB(0) | CM(0)

2013年04月19日(金)

世界平和は一家団欒のあとに 

世界平和は一家団欒のあとに (電撃文庫)世界平和は一家団欒のあとに (電撃文庫)
著者:橋本 和也
出版:メディアワークス
発行:2007/02

評価〔B-〕 特殊能力者たちの家族愛
キーワード:特殊能力、超能力、現代、家族、兄弟姉妹、

家族八人、今まで何度世界とやらを救ったのだろうか。俺は知らないし、わざわざ細かく数えているのも馬鹿らしい。(本文より抜粋)


世界を救う正義の味方と聞いて、思い浮かべるのはどのような人物でしょうか。本書では、世界の危機に立ち向かう一家が登場します。とはいっても、映画のような覆面で顔を隠した筋骨隆々の人たちではありません。学校に通ったり働いていたりと、外見も内面もいたって普通です。特殊な能力を持っている星弓家の人々が、世界の危機を解決すべく動きだします。第13回電撃小説大賞「金賞」受賞作。

主人公である長男・軋人をはじめ、兄弟姉妹たちが全て違う能力を持っています。並外れた強靭な肉体を持っていたり、回復魔法を使えたり、それぞれ性格にあった能力なのが良いです。そして、スーパーヒーローものなのですが、物語の主軸が敵ではなく家族の関係である点が、本書の特徴です。巨大な敵を皆が力を合わせて撃破!と、少年漫画のような展開ではありませんので、それを期待している方はご注意を。

登場人物が多いせいか、出番の極端に少なかった人がいるのが残念でした。ヒロインもあまりヒロインの役割を果たしていないような……。日常がメインなのですが、彼らの能力に見合った事件も見てみたかったです。ちょっと物足りなさを感じました。

明るく賑やかでいて、時にはシリアスで、それで気恥ずかしい表現ですが暖かいラノベです。バトルものだとばかり思っていたので予想外の展開でしたが、返って良かったかもしれません。まさにタイトルどおりの物語です。



[ 2013/04/19 21:18 ] ライトノベル | TB(0) | CM(0)

2013年04月19日(金)

無限の住人30  

無限の住人(30) <完> (アフタヌーンKC)無限の住人(30) <完> (アフタヌーンKC)
著者:沙村 広明
出版:講談社
発行:2013/02/22

評価〔A〕 時代劇漫画、ついに完結。
キーワード:時代劇、江戸時代、武士、剣客

「アンタと出会った時点で、アンタの味方になるに決まってんだからね、あの旦那は」(本文より抜粋)


ついに最終巻となりました。逸刀流の存続はどうなるのか、六鬼団は目的を果たせるのか。そして、凜の復讐の行方はいかに。

29巻同様、依然として三つ巴の続きますが、ようやく決着がついていきます。吐、天津、万次が死力を尽くして戦う様は、非常に緊迫して盛り上がりましたし、この漫画を象徴していて心打たれます。この物語で重要なのは、勝負に勝った負けたではなく、生き残ったかどうかなのではないかと改めて思いました。

最終話の後半は、最初万次の不死を強調するために作ったのかと思ったのですが、あの小刀があの手に握られることの意味を考えると、ひときわ感慨深いです。読了後、表紙カバーをはずして本体表紙の絵を眺めると、その気持ちは一層増します。なんかこう、ようやく「やはり主役は万次だったのか」と思われてくれます。

あとがきにもあるように、本シリーズは完結まで19年かかっています。僕は途中から読み出したので19年も読んでいませんが、それでも結構長い時間読み続けてきました。不死解明編はあまり好みではありませんでしたが、今思うとバトル一辺倒にならず、メリハリがついて良かったと思います。なみはありましたが、シリーズとしての評価は本書同様Aです。次はどのような漫画を見せてくれるのか楽しみです。




ネタばれは続きにて↓
[ 2013/04/19 21:12 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2013年04月15日(月)

無限の住人29 

無限の住人(29) (アフタヌーンKC)無限の住人(29) (アフタヌーンKC)
著者:沙村 広明
出版:講談社
発行:2012/05/23

評価〔B+〕 最終決着の時は近い。
キーワード:時代劇、江戸時代、武士、剣客

「やれやれだ………。怖ェのは天津と吐と姐ちゃんくらいだと思ってたのによ。」(本文より抜粋)


三つ巴での最終決戦の火蓋を切った28巻を受け、3つの戦闘が同時進行します。

どれも緊迫した戦いですが、槇絵の強さがずば抜けていて、彼女の戦いはあまり緊張感が感じられません。彼女のようなキャラが物語に強く干渉するのはあまり好きじゃないんだよね。それでも、敵側にもおおっと思わせるような見せ場を作るのが上手いので、読者を飽きさせません。彼女たちの戦闘は最終巻に持ち越されます。一方、万次はやはりというか予想通り追い込まれていきます。毎回思うのですが、彼はそんなに強くないよね。不死ならではの戦い方が彼らしい。敵の彼が可愛そうだと思ってしまいました。

一番見たかった頭領同士の戦いは良いのですが、物足りないのでもう少しページを割いて欲しいなあ。体調もどちらも万全で戦えば、あの展開にはならなかったと思うのですが……。

負傷者も死者も出て終わりが見えてきました。次の最終巻でも2人くらい亡くなりそうな予感。最後に笑うのは誰なのか。納得いく結末が見たいです。




[ 2013/04/15 21:47 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2013年04月15日(月)

解決まではあと6人(講談社文庫) 

解決まではあと6人 (講談社文庫)解決まではあと6人 (講談社文庫)
著者:岡嶋 二人
出版:講談社
発行:1994/07/07

評価〔B〕 数々の依頼の意味とは。
キーワード:推理、興信所、多視点

「あの、このカメラからだけで、持主を探し出すというのは、不可能でしょうか?」(本文より抜粋)


平林貴子と名乗る若い女性が、別々の興信所を訪れては、別々の奇妙な依頼をしていきます。カメラの持ち主を探して欲しい、マッチが緑色の喫茶店を探して欲しい、などなど。彼女は何者なのか、どのような意図があって依頼したのか、そして彼女の目的とは。全部通して読むと全貌が分かるメドレー・ミステリーです。

群像劇とは少し違うのですが、興信所の調査員もしくはそれに類する者たちがパズルやクイズのような依頼に挑むのが面白いです。色々な調査の手法が書かれていて興味深いですね。調べものをする時に、別の職業を語るのはよくある方法なのでしょうか。うまくやられると、こちらも信じてしまいそう。

初版が1994年の本作品、店を調べるのにネットではなく電話帳なのが、時の流れを感じます。携帯電話も使いそうな場面で出てきませんしね。デジカメも持っていない模様。今の時代なら違う展開になっていたでしょう。

真相は意外でしたが、思っていたよりも衝撃ではありませんでした。そこに至までの過程、全ての調査が1つに繋がるのが、あまり分かりやすくなかったからだと思います。解明の面白さが十分楽しめませんでした。スラスラ読まずにじっくり読むべきでした。あとでもう一度読み直して整理したほうが良さそうです。




[ 2013/04/15 21:30 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

2013年04月11日(木)

読み上手 書き上手 

読み上手 書き上手 (ちくまプリマー新書)読み上手 書き上手 (ちくまプリマー新書)
著者:齋藤 孝
出版社:筑摩書房
出版日:2008/02

評価〔C+〕 書くためにまず読もう。
キーワード:文章、作文、実用

いいものを書くためには、ふだんから「読んでいる」という足腰作り、鍛錬が必要です。その膨大な蓄積の上に、書くことがあると、私は考えています。(はじめにより抜粋)


教育学・コミュニケーション技法が専門の著者が、読み書きのコツを丁寧に分かりやすく解説しています。本屋さんで新書の棚を眺めていると、著者の名前を度々目にしていたので気になっていました。本書がはじめて読む著者の本です。おそらく。

おおまかに言うと、良い文章を書くためには、まず沢山の本を読み読み取る能力を養うこと。そして、書くポイントを押さえて作文することと説いています。教師をしているので、話の流れや説明は分かりやすいです。時折課題を設け、読者に実践させるのも良い方法だと思います。読んだ本について、「面白い点」「著者の主張」「学んだこと」を話す課題は、基本的ではありますが有効な練習だと思います。

ただ、作文するのは様々な場合が考えられる中、本書では大学受験と就職試験の2つにしか触れられていないのが残念です。問い合わせや依頼文、他者への説明なども重要な作文なのに。もっと幅広い読書や作文について解説されているのかと期待していただけに、落胆も大きかったです。弁証法や「三角形を作る」など具体的な方法も書かれていますが、それならば以前読んだ「伝わる・揺さぶる!文章を書く」のほうが実用的ですし、応用もききそうです。それと、読書が大切なのは分かりますが、他の事を軽んじるのは良くないです。スポーツ観戦は声が大きくなったときだけ見れば良いとかね。

中高生の時ならば本書はかなり役に立ったと思いますが、試験を離れてしまうとそれほどでもないような気がします。




[ 2013/04/11 21:53 ] 実用 | TB(0) | CM(0)

2013年04月11日(木)

エスニシティ ゼロワン3 

エスニシティ ゼロワン 3 (フラッパー)エスニシティ ゼロワン 3 (フラッパー)
著者:多田乃 伸明
出版:メディアファクトリー
発行:2012/03/23

評価〔B-〕 追放者達の行く先
キーワード:SF、近未来、管理社会、

「ついて来い。お前に見せてやろう。私の革命を。」(本文より抜粋)


塗り替えられていく空白地帯の勢力図。ケオウの革命とノルトレガの思惑は、空白地帯をどう変えるのか。最終巻である本書で、ひとつの結末をむかえます。

ゆったりとした流れから急に物語が展開していきます。重要人物センセーの登場や、「エスニシティゼロワン」の意味、特殊能力者の秘密など、あらかた謎が解かれます。この巻で終わりだから駆け足になるなーと思っていたのですが、終わってみるとおさまりが良いと言うか、案外違和感なくまとまりました。

しかし、管理社会と追放者たちをはじめとするこの近未来の世界を、もう少し詳しく説明して欲しかったです。物足りない気持ちもあるので、あと数冊足してじっくり読んでみたかったですね。あと、ニコも主人公のわりにあまり目立たなかったと思います。

本シリーズも「70億の針」も数巻で完結したので、次の漫画はもうちょっと長めにならないかなと期待しています。



[ 2013/04/11 21:51 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)

2013年04月05日(金)

科学でわかる男と女の心と脳 男はなぜ若い子が好きか?女はなぜ金持ちが好きか? 

科学でわかる男と女の心と脳 男はなぜ若い子が好きか? 女はなぜ金持ちが好きか? (サイエンス・アイ新書)科学でわかる男と女の心と脳 男はなぜ若い子が好きか? 女はなぜ金持ちが好きか? (サイエンス・アイ新書)
著者:麻生 一枝
出版:ソフトバンククリエイティブ
発行:2010/03/18

評価〔A-〕 軽めに見えてしっかり分析
キーワード:性、進化生物学、動物行動学、

性染色体の違いによってなにが起こり、オスやメスの体が形づくられていくのかについては、いまだにその全貌は解明されていない。しかし、いちばん重要な働きをするのが男性ホルモンであることについては、学者の意見は一致している。(第5章より抜粋)


帯のイラストに、可愛い女性で「わたし愛があればなにもいらないの!」と書いてあり、そのすぐ下に『ウソをつけ』とあって笑ってしまいました。表紙のイラストで少々手に取りにくいかもしれませんが、男女の様々な違いを動物行動学・進化生物学の観点から分析した、性についての科学的な解説書です。

とっつきやすい異性の好みや嫉妬の話題から、性と犯罪の関係そして体や心の違いなどかための項目まで広く扱っています。どれも分かりやすく難しくならないよう心がけているようです。例えば、深く考えることのなかった異性の魅力も、進化論を考慮し説明しています。ポップなイラストが使われていますが、多数の論文や書籍・データを参考にしていてしっかりとした内容です。

特に目をひいたのが、第5章です。胎児の時に性が決定していく性分化についてが書かれているのですが、体の性と心の性では、性分化の時期が違うことが驚きでした。体も心も同時に男性になっていくのかと思っていただけに、すごく興味深いです。このことを知っただけでも、本書を読んだかいがありました。

気になる点がひとつ。男が得意なこと女が得意なことが書かれていましたが、以前読んだ「脳と性と能力」では男女の能力にほとんど差はなかったとあったような……。ズレがありますね。もう一度読み直してみようと思います。

分かりやすいですが内容は充実した本です。各項目は短く、新書の中でもスラスラ読めるほうだと思うので、あまり本を読まない人にも読んでもらいたいものです。




[ 2013/04/05 21:40 ] 自然科学・医学 | TB(0) | CM(0)

2013年04月05日(金)

2013年3月の読書メモ 

星を継ぐもの (創元SF文庫)〔A+〕
アラクニド6〔B+〕
友だち幻想―人と人の“つながり”を考える〔B〕
NIGHTMARE MAKER5〔B+〕
探偵失格―愛ト謂ウ病悪ノ罹患、故ニ我々ハ人ヲ殺ス〔C〕

方丈記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)〔B〕
人間そっくり (新潮文庫)〔B-〕

以上、7冊でした。もう少し読みたかったのですが、あまり時間が取れませんでした。漫画ももっと読むつもりだったのに。

「星を継ぐもの」はS-かA+か迷ったのですが、A+にしました。好みや満足度など自分の感情を優先させた結果です。このあたりは独断と偏見なのでご理解ください。

今月は先月よりも時間が取れそうなので、もう少し本を読みたい、と2月のまとめでも言っていたような……(笑) なるべく手広く読むつもりです。




[ 2013/04/05 21:31 ] 月別まとめ | TB(0) | CM(0)